- 糖尿病と診断されたばかりで、何から始めたらいいか迷っている
- 血糖値は気にしているが、腎臓についてはあまり意識していない
- 透析は避けたいと考えているが、どうしたら良いかわからない
- 家族に糖尿病患者がいて、将来が心配
当院でしたら、上記の疑問、悩みが解決できるかもしれません。
目次
“透析”を避けたいあなたへ。糖尿病治療の5つのポイント
こんにちは。医療法人社団 緑晴会 あまが台ファミリークリニック院長の細田俊樹です。
私は総合診療を専門とし、医師として25年目になります。
クリニックを開業して5年以上が経ち、現在では年間延べ4,000人以上の糖尿病の患者さんを診察しています。
今回は、透析にならないためにどうしたらよいのか?他糖尿病治療の5つポイントを説明したいと思います。
透析をうけている患者さんは34万人
日本では毎年、約4万人もの人が新たに人工透析を始めています。
現在、透析治療を受けている人は約34万人。この数は、先進国の中でも際立って多く、人口あたりの透析患者数は世界トップクラスです。
透析患者数の推移(2010~2023年)
日本国内における透析をされている患者さんは、毎年少しずつ増えており、社会的にも深刻な課題となっています。
透析が必要となる病気の原因として最も多いのが糖尿病です。
参考までに
- 2番目の原因が高血圧
- 3番目に多いのが腎炎といって、腎臓そのものの炎症によって起きる病気です。
糖尿病によって腎臓にダメージが続くと、老廃物を排出する力が低下し、最終的には透析という手段を使う必要がある患者さんもいます。
透析は、一度始まると週に3回、何時間も病院に通う必要がある大変な治療です。
私は毎日糖尿病の患者さんを診察していますが、そのなかには血糖値ばかりに目が向いてしまう方も少なくありませんが、腎臓を守るためには、他にも知っておくべき大切なポイントがいくつもあります。
1. 腎臓を守るためには、他にも知っておくべき大切なポイント:HbA1cをしっかりチェックしよう
糖尿病治療というと、つい「空腹時血糖値」ばかりに目がいきがちですが、それだけでは不十分です。大切なのは「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」という指標も合わせて確認することです。
HbA1cは、過去1〜2ヶ月の平均的な血糖の状態を反映するもので、血糖値の“定点”ではなく“全体の流れ”を教えてくれます。
食事や運動、ストレスなどで日々変動する血糖値に比べて、HbA1cは安定した指標で、治療がうまくいっているかを判断するうえでとても重要です。
HbA1cの目標値は一般的に6.5〜7.0%未満とされますが、年齢や持病の有無などによって調整が必要です。(※1)
医師と相談しながら、自分に合った目標を設定し、定期的に確認していきましょう。数値の変化に気づくことで、早めの対策が可能になります。
2. 高血圧と脂質異常症をコントロールする
糖尿病の人にとって、高血圧やコレステロール異常は「ダブルパンチ」です。
これらの病気があると、腎臓への負担がさらに大きくなり、腎症が進行しやすくなります。
血圧は一般的に130/80mmHg以下、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)は100mg/dL未満を目標にすると良いとされています。(※2)
糖尿病だけでなく、血圧や脂質も合わせて管理していくことが、腎臓を守る第一歩です。
3. 定期的な尿検査で「見えないサイン」を逃さない
腎臓の病気は、初期にはほとんど自覚症状がありません。
しかし、尿の中に「アルブミン」というたんぱく質が出始めることで、早い段階で腎臓のダメージに気づくことができます。
これを「微量アルブミン尿」といいます。
糖尿病の方は、年に3~4回は尿検査を受け、必要に応じて詳しい検査を行うことで、腎臓病の早期発見・早期治療に繋がり、腎臓の機能を維持して透析を避けることに役立ちます。(※3)
4. 糖尿病性腎症を防ぐ「くすり」の正しい選び方
最近では、糖尿病の薬の中にも「腎臓を守る効果」があるものが登場しています。
たとえば「SGLT2阻害薬」は血糖を尿に出すことで下げる薬で、腎機能の低下を防ぐ効果があります。(※4)
また、「ACE阻害薬」や「ARB」といった血圧の薬も、腎臓を守る働きがあります。
自分に合った薬を医師と相談しながら使うことが、透析を避ける鍵になります。
5. 続けられる食事・運動・生活習慣こそが最大の武器
どんなにいい薬を飲んでいても、日々の生活習慣が乱れていては意味がありません。
特に大切なのが、「塩分を控える」「適度な運動」「十分な睡眠」など、腎臓にやさしい生活を心がけることです。
いきなり完璧を目指す必要はありません。
今日からできる小さな一歩を続けていくことが、将来の透析を防ぐ最良の方法です。
当院では、管理栄養士が一人一人にあった現実的な食事による改善方法を一緒に考え、できるだけ薬に頼らず、糖尿病の合併症を防ぐために、カウンセリングもしています。
仮に薬は1日1回だとしても、食事は1日3回で1週間に21回、1ヶ月で84回ぐらいになりますよね。
1回、1回の食事の積み重ねが糖尿病の発症または進行に大きく関係しますから、どうしたら予防できるのか?
Aという食材と、Bという食材のどちらを選んで食べたらいいか迷ったときに、国家資格を持つプロの管理栄養士さんのアドバイスがあれば、安心ですよね。
それによって、1年後2年後に大きな差が出てくるというのはわかるかと思います。
まとめ:今日から“腎臓を守る糖尿病治療”を始めよう
透析は誰にとっても避けたい治療です。
しかし、その多くは「ある日突然」始まるわけではなく、日々の小さな積み重ねの結果なのです。
糖尿病と診断されたその日から、「腎臓を守る治療」を始めることができます。
血糖、血圧、コレステロール、生活習慣…。どれもが将来の健康を変える大切なポイントです。
気になることがあれば、早めに医療機関で相談してみてください。
当院では糖尿病の治療と腎臓の管理に力を入れています。お気軽にご相談ください。
参考文献
(※1)日本糖尿病学会 編・著
『糖尿病治療ガイド2024-2025』
南江堂、2024年、p.36-40
(※2)日本糖尿病学会 編・著
『糖尿病治療ガイド2024-2025』
南江堂、2024年、p.31-35
(※3)日本腎臓学会 編
『CKD診療ガイド2023』
医学書院、2023年、p.12-17
(※4)Heerspink HJL, et al.Dapagliflozin in patients with chronic kidney disease.
New England Journal of Medicine. 2020;383(15):1436–1446.
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