「最近HbA1cが高めで、血圧も145/90くらいある…これって大丈夫?」
こんな不安を感じたことはありますか?
- 糖尿病内科専門のクリニックに通っているけれど、血圧については聞かれたことがない…
- 糖尿病と高血圧って、関係あるの?と思っている…
- 家庭で血圧を測ると高めで、どう対応したらいいかわからないな…
- 血圧測定の正しい方法を知りたい…
こんな疑問や悩みを持っている方は、今回のブログはきっと役に立つと思います。
目次
高血圧×糖尿病=リスク倍増?今すぐ見直したい血圧の測定方法
こんにちは。医療法人社団 緑晴会 あまが台ファミリークリニック 院長の細田俊樹です。
私はプライマリ・ケア(総合診療)を専門に、医師として25年目になります。
年間4000人以上の糖尿病の患者さんを診察しています。
今回は、糖尿病の患者さんが意外に気づいていない
「高血圧を放置するリスクや」
「糖尿病×高血圧が合併した場合の起こり得るリスク」
「そもそもご自身の血圧はいくつなのか?」
正しい測定方法についても触れます。
血圧が高いと、なぜ糖尿病にとって危険なの?
世界保健機関(WHO)では、病気のリスクに最も影響を与える要因として「高血圧」がトップに挙げられています。(※1)
また、糖尿病、タバコを上回る影響力があるのです。

え!血圧のほうが、病気のリスクにおおきな関係があるのですか?!

そうなんですよ。あまり知られていないんですけど。感染症以外で最も大きい死亡原因が高血圧なんです。
糖尿病と高血圧が合併すると、次のような合併症のリスクが急増します:
- 心筋梗塞や脳卒中
- 腎臓病の悪化 → 最悪の場合は透析へ
- 認知症の発症リスク上昇
高血圧は「静かなる殺し屋(サイレントキラー)」とも言われ、自覚症状が出にくいのが特徴です。
だからこそ、早い段階で正確に測って把握することがとても大切です。
健康診断で糖尿病を指摘されて、当院を受診した患者さんの中には、高血圧があることに気づいていない患者さんも少なからずいらっしゃることに気づきました。
ですので当院では、自宅での血圧の測り方についても、看護師から詳しく説明します。
そして血圧手帳を渡して
「1週間でもいいので測定してくださいね。」
と伝えています。
自宅で正確に測るには? 4つのポイント
① タイミングは「朝と夜」の1日2回
- 朝:「起床後1〜2時間以内」「朝食前」「排尿後」「薬を飲む前」
- 夜:「夕食や入浴の前」
※入浴や運動の後は血圧が上がるので避けましょう。

なんで1日2回も測る必要があるんですか?

早朝高血圧と、夜間高血圧と言いまして、朝起きて1時間以内と、夜寝る前の血圧が脳卒中や心筋梗塞といった病気のリスクと関係があることが分かっているからです。
② 正しい姿勢で測る
- 背もたれのある椅子に座り、両足を床にぴったりつけてリラックス
- 深呼吸して1〜2分間、落ち着いてから測定
- 腕を心臓の高さにして、肘をまっすぐに

なるほど、血圧の測定の仕方って決まってるんですね。よくわかりました。
③ 測定前の注意点
- タバコ、カフェイン、食後30分以内の測定は避けましょう
- 薄手の服か、腕を直接出して測る
- 血圧計のカフ(腕帯)は指2本分が入るくらいで巻く
④ 血圧計の選び方は「上腕式」がおすすめ
手首式よりも正確性が高いため、上腕(肘上)で測るタイプを使いましょう(※2)。
糖尿病の方が目指すべき血圧の目安
家庭での平均値が、
- 上が130以上(収縮期血圧と呼びます。)
- 下が80以上(拡張期血圧と呼びます。)
であれば、「高血圧」と診断される可能性があります(糖尿病がある場合)(※3)。
基礎疾患や年齢、体格によっても目標値は異なる場合があるため、主治医と相談して適切な管理目標を決めることが大切です。
血圧を下げると、こんなメリットが!

血圧を下げるメリットってどのくらいあるんですか?

とても良い質問ですね。以下のようなことがわかっています。
- 脳卒中のリスクを35~40%減らせる
- 心筋梗塞のリスクを約20%低下
- 心不全のリスクは50%以上低下
これらの効果は、薬だけでなく、生活習慣の見直しでも得られる可能性があります(※4)。
血圧が高かったとき、どうすればいい?
「家で測ったら130/85を超えていた…」
そんな時は、まずは生活習慣の見直しから始めましょう。
- 塩分を減らす
- ウォーキングなどの有酸素運動
- 睡眠・ストレス管理
- 禁煙や節酒
当院のYouTubeでも「血圧の正しい測り方」を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
- 糖尿病と高血圧の関係は深く、合併するとリスクが大きく上がる
- 血圧は自宅で「正しい方法」で測ることが大切
- 血圧を管理することで、合併症の予防が可能になる
「血圧、最近測っていないな…」という方は、今日からぜひ意識してみてください。
当院でも、糖尿病と高血圧の両方に関するご相談をお受けしております。
参考文献
- World Health Organization. Global status report on noncommunicable diseases 2014. p.36-39.
- 日本高血圧学会. 高血圧治療ガイドライン2022. p.55-60.
- 日本糖尿病学会 編・著. 糖尿病診療ガイドライン2023. 南江堂.
- Law MR, et al. “Use of blood pressure lowering drugs in the prevention of cardiovascular disease: meta-analysis.” BMJ. 2009;338:b1665.
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