「血糖値が少し高いだけだから大丈夫」と思っていませんか?
薬は飲んでいるけれど、医師の説明が短くて不安…。
食事の相談もできず、検査結果を見て終わりになってしまっている。
そんな声を、多くの患者さんから聞きます。
実は、こうした不安を抱えている方はとても多いです。
「今の治療で本当に良くなっているのか分からない」「何を頑張ればいいのか曖昧」
――そんな声を多く聞きます。
でも、正しい知識とちょっとした工夫で、糖尿病の進行は止めることができます。

皆さん こんにちは。医療法人社団 緑晴会 あまが台ファミリークリニック 院長の細田俊樹です。私はプライマリ・ケア(総合診療)を専門に、医師として25年目になります。
現在、年間4,000人以上の糖尿病患者さんを診察しています。
一人ひとりの生活背景に合わせた治療を重視し、医学的根拠と実践的アドバイスの両立を目指しています。このブログでは、透析を防ぐために“今日からできる具体的な7つの方法”をわかりやすく紹介します。
目次
糖尿病を“放っておかない”ために大切なこと
糖尿病は「静かに進行する病気」です。自覚症状がないまま、血管のダメージが進み、腎臓・目・神経に影響を及ぼします。
特に、腎臓の機能が低下すると、最終的に人工透析が必要になることもあります。
実際、日本では糖尿病が原因で透析を受けている人は全体の約40%にものぼります(※1)。
しかし、早い段階から適切な治療と生活習慣の改善を行うことで、透析を防ぐことは十分に可能です。

医師と管理栄養士がチームで支える治療
糖尿病の治療は「薬を飲むこと」だけではありません。
血糖を安定させるには、食事・運動・睡眠・ストレスケアのすべてが関わっています。
当院では、複数の医師と4名の管理栄養士が協力し、一人ひとりのライフスタイルに合わせたサポートを行っています。

たとえば、仕事で食事時間が不規則な方や、外食が多い方には、「何を減らすか」ではなく「どう組み合わせるか」を提案します。
無理な制限ではなく、続けられる方法を一緒に考えるのが当院の特徴です。
では、具体的にどんなことを意識すれば透析を防げるのか。
ここからは、当院でも患者さんにお伝えしている「透析を防ぐために絶対やっておきたい7つのポイント」をご紹介します。
透析を防ぐために絶対やっておきたい7つのポイント
糖尿病はゆっくり進む病気です。初期のうちはほとんど症状がないため、「まだ大丈夫」と思ってしまう方も少なくありません。ですが、腎臓のダメージは少しずつ進み、気づいたときには取り戻せなくなっていることもあります。
ここでは、透析を防ぐために今日からできる7つの行動を、わかりやすく紹介します。
① 定期的に尿検査を受ける
腎臓の異常は、血液検査よりも早く「尿検査」で見つかることがあります。特に尿に「アルブミン」というたんぱく質が混じっていると、腎臓に負担がかかっているサインです。
早い段階でこの変化に気づけば、腎臓の悪化を止められることも多いです(※1)。
「毎回同じ結果だから意味がない」と思う方もいますが、変化はゆっくり起こるため、3〜6か月ごとのチェックがとても大切です。
自分では気づけない小さな変化を見逃さないために、定期的な尿検査を続けましょう。

② 血糖値(HbA1c)を7.0%未満に保つ
血糖値をしっかりコントロールすることが、透析を防ぐいちばんの近道です。
研究によると、HbA1cを1%下げるだけで腎症のリスクが約37%も減ることがわかっています(※2)。
食事では「主食から食べ始める」のではなく、「野菜→たんぱく質→主食」の順に食べると、血糖の上昇がゆるやかになります。
甘い飲み物や間食を完全にやめるのは難しいですが、「減らす意識」だけでも十分な効果があります。
完璧を目指すより、続けられる工夫をすることが大切です。

③ 血圧を130/80mmHg未満に保つ
血圧が高いと、腎臓の血管が圧迫されて少しずつ傷ついていきます。
血圧を10mmHg下げるだけで、腎臓病の進行リスクが約20%減るといわれています(※3)。
塩分を減らすのは難しいですが、「味噌汁を1日1杯まで」「調味料は“かける”より“つける”」など、小さな工夫で十分です。
むやみに薬を増やすよりも、生活の中でコントロールすることが腎臓を守る第一歩です。
④ 十分な水分をとる
水分が足りないと、腎臓に流れる血液が減ってしまい、老廃物がたまりやすくなります。
1日1.5〜2リットルを目安に、お茶や水をこまめに飲むようにしましょう(※4)。
「水をたくさん飲むのが苦手」という方は、1時間に1回コップ半分など、少量ずつでも構いません。
喉が乾く前に少しずつ飲むのがコツです。腎臓は“サボる臓器”ではなく、常に働いているからこそ、水分で助けてあげることが大切です。
⑤ 睡眠とストレスケアを大切にする
睡眠不足やストレスが続くと、血糖値や血圧が上がりやすくなります。
睡眠が6時間未満の人は、HbA1cが平均0.3%高いという報告もあります(※5)。
寝る前1時間はスマホを見ずに、ぬるめのお風呂に入るだけでも自律神経が整い、血糖のコントロールがしやすくなります。
「忙しくて寝る時間がない」と感じている方も、30分早く寝るだけで体が楽になるのを実感できるでしょう。

⑥ 体重を適正に保つ(BMI25未満を目標に)
肥満は糖尿病だけでなく、腎臓の病気を進める原因にもなります。
体重を5%減らすだけでも、HbA1cが約0.4%下がるという研究結果があります(※6)。
急に運動を始める必要はありません。通勤のときに1駅分歩く、エレベーターを1日に2回階段に変えるなど、できることからで十分です。
体を動かすと、血流もよくなり、腎臓への負担も減ります。
⑦ 専門医と管理栄養士に相談する
糖尿病は、医師だけではなく、管理栄養士や看護師などのチームで支える病気です。
専門チームで治療を受けた人は、腎症の進行が30%以上抑えられたという報告もあります(※7)。
当院では、管理栄養士が一人ひとりの生活に合わせた食事アドバイスを行い、医師が薬や検査を調整する体制をとっています。
「一人で頑張るのは限界…」と感じている方も、チームで支えることで安心して治療を続けることができます。
どれも難しいことではありませんが、続けるには「一緒に取り組む仲間」が必要です。
医師と管理栄養士がチームで支える当院では、あなたの生活スタイルに合わせて、無理のない方法を提案します。
糖尿病は、“自分の力で改善できる病気”です。

まとめ:未来の腎臓は、今日の行動で守れる
透析を防ぐために特別なことをする必要はありません。
「検査を受ける」「血糖を整える」「水を飲む」「相談する」――そのどれもが、少しの意識から始まります。
今日できる小さな行動が、未来の腎臓を守るいちばん確実な方法です。
これらを「医師だけ」ではなく「栄養士・看護師とともに」継続することが、透析を防ぐための最短ルートです。
- 医師の説明が短くて不安を感じている
- 食事療法をもっと具体的に知りたい
- 薬を増やす前にできることを探したい
- 透析になりたくない
当院でしたら、上記の疑問や不安を一緒に解決できるかもしれません。
行動こそが、「透析を防ぐ」最良の治療
糖尿病の治療は、「正しい知識」と「小さな行動」から始まります。
食事や生活の工夫を積み重ね、医師や栄養士とチームで取り組むこと。
それが、未来の自分を守る最大の投資です。
糖尿病ケアの第一歩を、あなたの生活に合わせて。
「薬だけに頼らない治療をしたい」「食事や生活習慣を見直したい」
そんな方のために、当院では医師と管理栄養士がチームでサポートしています。
透析を防ぐための具体的なケア方法を詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
よくある質問
Q1. 糖尿病と診断されても、すぐに透析になるわけではありませんか?
A1. その通りです。多くの場合、血糖値を適切にコントロールすれば腎臓の悪化を防げます。早期からの通院と生活改善が非常に重要です。
Q2. 管理栄養士による食事指導は保険が使えますか?
A2. はい。糖尿病で通院中の方は、医師の指示のもとで保険適用による栄養指導が可能です。当院では医師と栄養士が連携して行っています。
Q3. 食事制限が厳しいのではと不安です。
A3. 当院では「我慢」よりも「バランス」を重視します。外食やコンビニ食が多い方でも、続けやすい食事法を提案しています。
Q4. どのくらいの頻度で通院すればよいですか?
A4. 症状や数値によりますが、一般的には1〜2か月ごとの通院で十分です。状態が安定すれば間隔を広げていくことも可能です。
参考文献
- (※1) 日本腎臓学会:糖尿病性腎症重症化予防プログラム 2024
- (※2) UK Prospective Diabetes Study (UKPDS 35). BMJ. 2000;321:405–412.
- (※3) American Diabetes Association. Standards of Care in Diabetes—2025. Diabetes Care. 2025;48(Suppl.1).
- (※4) Stookey JD et al. Am J Kidney Dis. 2017;69(3):420–428.
- (※5) Knutson KL et al. Sleep. 2020;43(5):zsaa025.
- (※6) Wing RR et al. Diabetes Care. 2011;34(7):1481–1486.
- (※7) Tanaka M et al. Diabetol Int. 2022;13(4):450–458.
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