「糖尿病と言われてから、おやつをどうしたらいいのか分からない」「甘いものが大好きだけど、血糖値が心配…」。そんな不安を抱えている方は、とても多いです。
結論からお伝えすると、糖尿病の方でも、選び方と食べ方を工夫すれば「おやつを楽しむこと」は十分に可能です。
糖尿病でも食べられる!血糖値が上がりにくい「安心おやつ」15選
目次
こんにちは。
医療法人社団 緑晴会 あまが台ファミリークリニック 院長の細田俊樹です。

私はプライマリ・ケア(総合診療)を専門に、医師として25年目になります。
これまでに年間4,000人以上の糖尿病の患者さんを診察しています。
糖尿病の治療では、薬や食事内容だけでなく、「日常のちょっとした間食の選び方」が血糖値に大きく影響します。
外来でもよく、
「おやつって、結局どれなら食べてもいいんですか?」
「甘いものがどうしてもやめられないんです…」
と質問されます。そんな悩みを持つ方が、無理なく・ストレスなく・今日からすぐに実践できるように、この記事では血糖値が上がりにくい「安心おやつ15選」を、コンビニやスーパーで買えるものを中心にわかりやすく紹介します。
そして、
・どうして他のお菓子は血糖値を急上昇させるのか?
といった医学的な理由や根拠については、少し後の章で丁寧に解説します(※1)(※2)。

先生、私甘いものが本当に好きで…。でも、もう全部やめたほうがいいんでしょうか?

先に「何を食べればいいか」を具体的にお伝えし、そのあとで「なぜそれが良いのか」を知っていただくことで、納得して続けやすくなるはずです。ぜひ最後まで読んで、あなたの生活に取り入れてみてください。
血糖値が上がりにくいおやつ15選(コンビニ・スーパーで買える)
まずは「今日からすぐ試せる」具体的なおやつを紹介します。ここで紹介するものは、あくまで血糖値が上がりにくい傾向のおやつであって、「いくら食べてもいい」という意味ではありません。量とタイミングは、あとで解説します。
1.素焼きナッツ(無塩)

例:セブンイレブン「素焼きミックスナッツ」、ファミリーマート「素焼きアーモンド」、トップバリュ「素焼きミックスナッツ」など。
ポイントは、塩・油・砂糖が追加されていないものを選ぶことです。ナッツは脂質と食物繊維が多く、糖質が少ないので、血糖値の上がり方がゆるやかになります(※1)。
2.ゆで卵

例:コンビニの「味付けたまご」「ゆでたまご」。
主成分がタンパク質と脂質で、糖質はほとんどありません。少量でも満腹感が出やすく、次の食事でドカ食いしにくくなるメリットもあります。
3.チーズ

例:雪印「6Pチーズ」、ベビーチーズなど。
これも糖質が少なく、タンパク質と脂質が中心です。1〜2個を目安に、食べ過ぎないようにしましょう。
4.ギリシャヨーグルト(無糖)

例:オイコス プレーン、パルテノ プレーン、トップバリュ ギリシャヨーグルトプレーンなど。
タンパク質が多く、普通のヨーグルトより腹持ちがいいのが特徴です。「加糖」タイプは糖質が多いので、必ず「無糖・プレーン」を選びましょう(※2)。
5.小魚・アーモンドのおつまみ

例:セブン「小魚アーモンド」、スーパーの「食べる小魚」など。
カルシウムやタンパク質が摂れ、1袋でもゆっくり噛んで食べると満足感があります。塩分はやや多めなので、食べ過ぎには注意が必要です。
6.高カカオチョコレート(カカオ70%以上を少量)

例:明治「チョコレート効果 72%」など。
普通のミルクチョコレートに比べて糖質が少なく、ポリフェノールも含まれます。ただし1日2〜3かけ程度にとどめ、板チョコ1枚を食べ切らないようにしましょう(※3)。
7.無糖の炭酸水+レモン

例:ウィルキンソン炭酸水+レモンスライス、レモン果汁少量など。
糖質はほぼゼロですが、炭酸でお腹が膨らみ、口寂しさがまぎれます。甘くないので血糖値には影響しにくいおやつ代わりです。
8.無調整豆乳

例:紀文「無調整豆乳」など。
糖質は牛乳より少なめで、タンパク質が多い飲み物です。コップ半分〜1杯程度をゆっくり飲むと、間食としてちょうどよい量になります(※4)。
9.低糖質プロテインバー

例:森永inバー プロテイン「ベイクドビター」など、糖質10g以下のもの。
商品によっては「プロテインバーなのに糖質たっぷり」というものもあるため、パッケージ裏の「糖質」「炭水化物」を必ず確認しましょう。
10.海苔・昆布のお菓子

例:味付け海苔、小袋入りのおしゃぶり昆布など。
よく噛むことで少量でも満足感が得られます。塩分が多いことがあるので、高血圧の方は量を控えめにしてください。
11.低糖質ゼリー(糖質5g前後)

例:「糖質オフゼリー」「カロリーゼロゼリー」など。
甘さを感じながらも糖質が抑えられている商品があります。ただし、人工甘味料が苦手な方は、体調と相談しながら少量から試してみてください。
12.枝豆

例:冷凍枝豆をレンジで温めたもの。
食物繊維と植物性タンパク質が豊富で、血糖値が上がりにくいおつまみです。塩をかけすぎないように注意しましょう。
13.バナナ(小1本または半分)

果物の中では、バナナは比較的GI値が低めの食品です。
ただし糖質はしっかり含まれるので、「小1本」または「半分」程度にして、運動前後などに食べるのがおすすめです(※5)。
14.全粒粉クラッカー

例:全粒粉タイプのクラッカーやビスケット。
白い小麦粉だけのクラッカーより、全粒粉入りの方が食物繊維が多く、血糖値の上昇がゆるやかになります。ただし砂糖が多いものは避けましょう。
15.こんにゃくゼリー(低糖質タイプ)

例:「カロリーオフこんにゃくゼリー」など。
噛みごたえがあり、量のわりにカロリーと糖質が少ないのが特徴です。のどに詰まらないよう、よく噛んで食べてください。
中間案内:おやつだけでなく、生活全体で血糖値を整えたい方へ

おやつだけじゃなくて、食事や薬のことも相談していいですか?

もちろんです。糖尿病は「全部セット」で調整すると効果が出やすいですよ。
受診を迷っている方へ(最終のご案内)
「薬の量も気になるけれど、食事やおやつのことも相談したい」
「自分に合った具体的なアドバイスがほしい」
そんな方は、一度ご相談ください。
あまが台ファミリークリニックでは、糖尿病をはじめとした生活習慣病について、
薬・食事・運動・睡眠などを総合的にサポートしています。
なぜこれらのおやつが血糖値にやさしいのか
ここからは、「どうしてこの15個のおやつが良いのか」という理由を、できるだけやさしく説明します。
1.食物繊維が多いと、糖の吸収がゆっくりになる(※1)(※4)

枝豆、全粒粉クラッカー、ナッツ、こんにゃくゼリーなどには、食物繊維が多く含まれています。食物繊維は、腸の中で糖の吸収スピードをゆっくりにしてくれるため、食後の血糖値の上がり方がなだらかになることが多くの研究で示されています(※1)。
2.タンパク質や脂質が多いと、血糖値の急上昇を防ぎやすい(※1)(※4)

ゆで卵、チーズ、豆乳、ギリシャヨーグルト、ナッツ、小魚などは、糖質よりもタンパク質や脂質が中心の食品です。
これらを適量とると、空腹感がおさまり、次の食事で「ドカ食い」するのを防ぎやすくなります。
結果として、1日の血糖値の波がなめらかになりやすいのです。

確かにナッツやチーズを食べると、お腹が落ち着く感じがします。

そうなんです。次の食事でドカ食いないことで、1日の血糖値の波を整えやすくなるんですよ。
3.GI値の低い食品は、血糖スパイクを起こしにくい(※2)(※5)
GI値(グリセミック・インデックス)は、「その食品を食べた後に血糖値がどれくらい上がるか」を示す指標です。
全粒粉製品や果物(バナナなど)は、白いパンやケーキなどと比べてGI値が低い傾向があります(※2)(※5)。
GI値の低い食品を選ぶことで、同じカロリーでも血糖スパイク(急激な血糖上昇)を起こしにくくなります。
4.「液体の砂糖」は特に血糖を上げやすい(※2)
ジュース、砂糖入りの缶コーヒー、乳酸菌飲料、加糖ヨーグルト飲料などは、液体で一気に飲みやすい上に、糖質が多いため、血糖値が急激に上がりやすいことが知られています(※2)。


そのため、同じ「甘いもの」でも、ケーキよりジュースの方が血糖を上げやすい場合もあります。この記事で無糖の炭酸水や無調整豆乳をおすすめしている理由は、この点にもあります。

ケーキよりジュースのほうが血糖が上がるんですか!?意外です。

液体の糖分は一気に吸収されるので、とても血糖が上がりやすいんです。
5.よく噛むおやつは、食べ過ぎ予防にもなる
ナッツ、小魚、枝豆、昆布、全粒粉クラッカーなどは、「よく噛まないと食べにくい」という特徴があります。
よく噛むことで満腹中枢が刺激され、少ない量でも満足しやすくなるため、結果的に摂取カロリーと糖質の取り過ぎを防ぎやすくなります。
「それでも甘いものがやめられない…」という方へ
外来でも、「頭では分かっているけれど、甘いものを完全にやめるのはつらいです」という声を本当によく聞きます。
私も、人の楽しみを全部取り上げるような指導はしたくありません。
大切なのは、
- 量を減らす(ケーキを1個→半分にしてみる)
- 頻度を減らす(毎日→週2〜3回にしてみる)
- 食べるタイミングを工夫する(食後に少量、など)
- 血糖値が上がりにくいものに「置き換え」ていく
といった「ゼロか100か」ではない、現実的な工夫です。
「今日はいつものケーキをやめて、高カカオチョコを2かけにしてみよう」
「毎日だったコンビニスイーツを、週2回までにしてみよう」
そんな小さな一歩を積み重ねるだけでも、半年〜1年後のHbA1cや体重が変わってくることを、臨床の現場で何度も見てきました(※4)。
おやつの量とタイミングの目安
1日の目安量
糖尿病の方のおやつは、1日100〜150kcal程度を目安にするとよいでしょう。
- 素焼きナッツなら、片手に軽く乗るくらい(約20〜25g)
- 高カカオチョコなら、2〜3かけ程度
- ギリシャヨーグルトなら、小さいカップ1つ

食べるタイミング
- おすすめ:昼食と夕食の間など、「どうしてもお腹が空いてしまう時間帯」に。
- あまりおすすめしない:夜遅い時間(21〜22時以降)の間食。夜は糖の代謝が落ちやすく、血糖と体重が上がりやすくなります。
まとめ:完璧を目指すのではなく、「少しずつ良い選択」に変えていく
- 糖尿病の方でも、おやつは選び方と食べ方を工夫すれば楽しめる
- 食物繊維・タンパク質・脂質が多めで、糖質が少ないおやつを選ぶと血糖が上がりにくい(※1)(※4)
- ジュースなどの「液体の砂糖」は特に血糖を急上昇させるので注意(※2)
- 「ゼロか100か」ではなく、量・頻度・タイミングを少しずつ調整していくことが大切

そうか…全部完璧にしようとする必要はないんですね。なんだかホッとしました。

そうですね。「ちょっとだけ良い選択」を積み重ねることが、一番続けやすくて、一番効きます。
当院があるエリア(千葉県長生郡周辺)でも、仕事や家事・育児で忙しい中、「少しずつおやつの内容を変えたことで、HbA1cが改善した」という方がたくさんいらっしゃいます。
一人で頑張りすぎず、必要であれば医師や管理栄養士と一緒に、無理のないペースで生活を整えていきましょう。
受診を迷っている方へ(最終のご案内)
受診を迷っている方へ(最終のご案内)
「薬の量も気になるけれど、食事やおやつのことも相談したい」
「自分に合った具体的なアドバイスがほしい」
そんな方は、一度ご相談ください。
あまが台ファミリークリニックでは、糖尿病をはじめとした生活習慣病について、
薬・食事・運動・睡眠などを総合的にサポートしています。
参考文献
- American Diabetes Association. Standards of Care in Diabetes – 2024. Diabetes Care. 2024;47(Suppl 1). 栄養療法および生活習慣に関するセクション。
- Jenkins DJA, Wolever TMS, Taylor RH, et al. Glycemic index of foods: a physiological basis for carbohydrate exchange. Am J Clin Nutr. 1981;34(3):362–366.(GI値の概念を提唱した古典的研究)(※2に対応)
- Kim Y, Je Y. Dietary fiber intake and glycemic control in people with type 2 diabetes mellitus: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Nutrients. 2020;12(11):3612.(食物繊維摂取と血糖コントロールの改善)(※1・※4に対応)
- Afshin A, Micha R, Khatibzadeh S, Mozaffarian D. Consumption of nuts and legumes and risk of incident type 2 diabetes, cardiovascular disease, and all-cause mortality: a systematic review and meta-analysis. Am J Clin Nutr. 2014;100(1):278–288.(ナッツ摂取と代謝・心血管リスク低下)(※1に対応)
- Willett W, Manson J, Liu S. Glycemic index, glycemic load, and risk of type 2 diabetes. Am J Clin Nutr. 2002;76(1):274S–280S.(GI・GLと糖尿病発症リスクに関するレビュー)(※2・※5に対応)

