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薬に頼りすぎない体へ―糖尿病改善に近づくための食事とは?

皆さんこんにちは!
あまが台ファミリークリニック管理栄養士の小島です。
つい先日まで寒かった気がしますが、
日に日に日差しが強くなり、半袖で出かける日が増えてきました!
最近スーパーに行くと、色とりどりの夏野菜や、さっぱりした冷たい食品が並びはじめて、
季節の移り変わりを感じています!
急に気温も変わり、体調も崩れやすい時期ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
最近当院の外来では、
- 「暖かくなって運動を始められるようになった」
- 「野菜が少し安くなり、夏野菜も美味しいので良く食べるようになった」
という声をよく聞きます。
それと同時に
- 「薬、ずっと続けるのかな…」
- 「でも、急にやめるのも怖いし…」
- 「数値も体調も安定しているから、もしかすると薬を減らせるのでは?」
とご相談を受ける機会も増えてきました。
このブログにたどり着いた皆様もきっと同じお気持ちなのではないでしょうか。
そしてそれは、ご自身の体としっかり向き合おうとしている証拠です。
その思いにきちんと応える情報を探しているところであると想像しています。
今回のブログでは
- 「薬に頼りすぎないためにできることを探している」
- 「食事や運動から糖尿病を予防したい」
- 「日常でどんなことを気をつけると、糖尿病の予防・重症化防止ができるか知りたい」
と思っている方にピッタリのブログとなっています。
ぜひ最後までご覧ください。
1. 血糖値はなぜ下げた方がいいのか?
皆さんは

糖尿病になるのは良くない、血糖値が高いと良くない!
と言うのはとてもよくご存知だと思います!
では、なぜこの糖尿病/血糖値が高い状態が続くと良くないのでしょうか?
血糖値が高い状態が続くと、血管が傷つき、目・腎臓・神経などに深刻な合併症を引き起こす原因となります。
また、糖尿病にかかり、血糖コントロールの状態が良くないと寿命にも大きく関わってくることが研究で証明されています。
実際にどれくらい差があるのか、日本糖尿病学会が行った大規模な調査結果をご紹介します。
2011年~2020年にかけて、日本糖尿病学会が68,555名の糖尿病患者を対象に調査したところ、糖尿病患者の平均死亡年齢は男性74.4歳、女性77.4歳でした。
これを、同じ時期の日本人全体の平均寿命(男性81.6歳、女性87.7歳)と比べると、
- 男性は 約7.2歳
- 女性は 約10.3歳
それぞれ寿命が短くなっていることがわかりました。
しかし、過去の調査と比べると、この差は年々縮まってきています。
たとえば1970年代(1971~1980年)では、
- 男性で 10.3歳差
- 女性で 13.9歳差
という大きな開きがありましたが、
2020年には
- 男性7.2歳
- 女性10.4歳
と改善傾向にあります。
糖尿病になっても、きちんと治療や生活習慣の改善を続けることで、寿命への影響を抑えることができるということです。
そのことからも血糖値を適正に保つことが、健康を守る上で非常に大切だと言うことがわかります!
もっと詳しく知りたい方は最後に当院youtube URLを掲載しておりますので併せてご覧ください。
2. 血糖値を下げるための基本と薬を減らすメリット
前の項でもお伝えした通り、血糖値が高い状態が継続すると寿命の長さにも関わり、危険です。
では、どのようにして血糖値のコントロールをすると良いのでしょうか?
糖尿病予防/治療方法について
血糖値を下げるための基本的な治療法には、以下の3つがあります。
② 運動療法:筋肉を動かすことで血糖の消費を促進
③ 薬物療法:血糖値を下げるための内服薬やインスリン治療
これらをその人の体質や生活に合わせて組み合わせていくことが、糖尿病治療の基本です。
3つの治療方法はありますが、薬を使用するにしても、薬を使用しないにしても、食事と運動などの生活習慣がとても重要です。

最近、当院では、食事や運動に力を入れることで薬の量を少しずつ減らせる方も増えてきました!
薬を減らすことのメリット
皆さんは薬を減らすことのメリットを考えたことはありますか?
毎日内服されている方は、もしかすると慣れてしまったかもしれませんがこの機会にぜひ薬を減らす・弱いものに変更するメリットを考えてみてください。
金銭的負担の軽減
皆さんは26,000円あったら他に何かしたいことはありますか?
10年飲み続けると26万円。
旅行に行ったり、家具を買い替えたり、家のリフォームなども検討できる値段ですね!
食事・運動・生活習慣を見直し違う薬に変える・もしくは薬をやめられたとすると皆様のお金が増えるわけです。
副作用のリスク軽減
これらの副作用は、体の状態や季節、生活習慣によってもリスクが変化します。
特に高齢の方では、軽い脱水がふらつきや転倒につながるなど、影響が大きくなることもあるのです。
だからこそ、薬の量を最小限に抑えながら、血糖値を良好に保つことが理想です。
それができれば、体への負担も軽くなり、結果的に生活の質(QOL)の向上にもつながります。
もちろん、薬の効果によって血糖値を安定させていることも重要です。
しかし、自己判断で薬を減らすことは絶対に避けるべきです。

薬を減らしたいと考えている方は、必ず主治医の判断を仰ぎながら進めてください。
無理なく、安全に、そして確実に血糖値をコントロールしていくことが最も大切です。
3. 今日からできる!血糖値を上げにくい「食べ方のコツ5選」
それでは、この項で今日から実践できる血糖値を上げにくい食べ方のコツ5つをご紹介します!
コツ1:野菜から食べる(ベジファースト)
野菜に含まれる食物繊維が、糖の吸収を緩やかにして、食後血糖値の急上昇を防いでくれます。
温野菜なら片手のひら1杯分
を食べることが理想です。
ごぼう 1/2本(約70g) → 約4g きんぴら1人前でOK!
納豆 1パック(50g) → 約3.3g 朝ごはんに1パックで◎
ブロッコリー 小房5~6個(100g) → 約2.6g ゆでてそのまま副菜に
にんじん 中1本(約100g) → 約2.8g サラダやきんぴらにおすすめ
ほうれん草 1束(ゆで後80g) → 約2g おひたしや味噌汁の具に
カリフラワー 1/4個(100g) → 約2.5g蒸してシンプルに
切り干し大根(乾) 大さじ2杯(10g) → 約2g 水戻しで副菜1皿分に
ピーマン 中2個(約80g) → 約1.8g ピクルスがおすすめです
キャベツ ざく切り2~3枚(約100g) → 約1.8g や味噌汁にも
セロリ 1本(約100g) → 約1.5g スティックサラダにどうぞ
トマト 中1個(約150g) → 約1.5g 生のままサラダで簡単
こんにゃく 1/2枚(約125g) → 約2.8g 煮物や炒め物に便利
ひじき(乾) 大さじ1(約5g) → 約2.5g 煮物に加えてかさ増し
わかめ(乾) ひとつかみ(5g) → 約1.6g 味噌汁1杯にぴったり
これらを食事の最初に摂ると、食物繊維の効果で糖の急な吸収を防いでくれます。
量としては1日で食物繊維を20g取れると良いでしょう。
コツ2:主食は“白”より“茶”を選ぶ

主食(ご飯やパンなど)に種類があるの??
と思われた方もいらっしゃると思います。
主食には血糖値を上げやすい食品と、あげにくく栄養素がより含まれているものがあります。
主食は白いものを選択されている方が多いです。
しかし、精製された白米や白パンよりも、
- 未精製の玄米
- 雑穀米
- 全粒粉パン
などの方が血糖値を上げにくいです!
また茶色の炭水化物は肥満予防・便秘解消にも効果的です!!
白い炭水化物・茶色い炭水化物とは・・・?
では、炭水化物の分類について具体的にご紹介します。
白い炭水化物と茶色の炭水化物の違い
【白い炭水化物】
精製されて食物繊維やビタミン・ミネラルが少ない状態の炭水化物。
血糖値が上がりやすく、糖尿病や肥満のリスクを高めやすい食品です。
・白米 ・食パン ・うどん ・白いパスタ
・白もち ・白だんご ・ラーメン(多くは精製小麦)
・クロワッサンやデニッシュなどの菓子パン類
・ホットケーキ・パンケーキ(市販ミックス)
・精製されたコーンフレーク・シリアルなど
消化が早く血糖値が急上昇しやすい
空腹感が戻るのが早く、食べすぎにつながりやすい
【茶色の炭水化物】
精製度が低く、食物繊維・ビタミン・ミネラルが豊富。
血糖値の上昇が緩やかで、腹持ちも良いです。
・玄米 ・五分づき米 ・雑穀米 ・全粒粉パン
・ライ麦パン ・十割そば ・オートミール(全粒オーツ)
・大麦(押し麦、もち麦など) ・全粒粉クラッカー・ビスケット
・胚芽パン(小麦胚芽を含むパン)
食物繊維が多く腸内環境を整える
血糖値が上がりにくく糖尿病予防に役立つ
噛みごたえがあり、満腹感を得やすい
いきなりすべて変えるのが難しいと思いますので、
- 白米に雑穀を混ぜる
- 週1回は十割そばを選ぶ
などから始めるのも一つの方法です!
コツ3:ジュースやお菓子は“毎日”をやめる
ついつい、フルーツジュースやスナック菓子、お煎餅やケーキなどを毎日食べていませんか?
机の上や冷蔵庫にあるとついつい食べてしまいがちですよね。
私も家にお菓子があるとお腹が空いていなくても食べてしまいますので、なるべく置かないようにしています。
これらには砂糖や脂質が多く含まれており、血糖値が急上昇しやすい食品です。
また、ポテトチップスやクッキーなどの高脂質・高糖質なお菓子は、「食べると止まらない」性質があり、習慣化しやすい傾向もあります。
1日1回のつもりが、いつの間にか習慣になってはいませんか?
→ 週1回の“ご褒美”に変えるだけでも、血糖管理や体重コントロールに大きな違いが出ます。飲み物は水・お茶に切り替えましょう
→ 100%ジュースや加糖コーヒーではなく、麦茶・炭酸水など無糖のものを選ぶ習慣をつけましょう。

→ 代わりにナッツ・無糖ヨーグルト・果物(少し)など、血糖値を急激に上げにくい選択肢をしましょう!
今までお菓子を日常的に食べていた方は、これをするだけで変化が現れるはずです!
コツ4:タンパク質をしっかり摂る

糖尿病予防や血糖コントロールのためには、糖質を減らすだけでなく、たんぱく質をしっかり摂ることが大切です。
※腎臓に不安のある方は主治医に相談しましょう。
日本人に多いのですが、糖質を控えるあまり、たんぱく質が不足する方もいらっしゃいます。
牛・豚・鶏・魚・大豆製品などをバランスよく摂ることが大切です。
目安としては、1食あたり20g前後のたんぱく質を意識しましょう。
【朝食の例】

納豆(1パック)…約6g
卵(1個)…約6g
ギリシャヨーグルト(100g)…約10g
→ 合計:約22g【昼食の例】
鶏むね肉(100g)…約22g
ブロッコリー(小房5個)…約3g
→ 合計:約25g【夕食の例】
焼き鮭(切り身1枚・80g)…約18g
冷ややっこ(豆腐1/4丁)…約5g
→ 合計:約23g
たんぱく質は「1つの食材だけで摂る」のではなく、主菜+副菜+乳製品や大豆製品などを組み合わせて摂るのが理想的です。
また、1日3食に分けて摂ることで、血糖コントロールも安定しやすくなります。
また、朝食は特に時間がない、ランチは外食で手っ取り早い麺類を選択している方も多いのではないでしょうか?
そんな方は、間食として取り入れるのも一つの案だと思います。
間食でたんぱく質を上手に補うことは、血糖値の安定だけでなく、空腹対策・筋肉量の維持にとても効果的です。
間食で手っ取り早く取り入れられそうな食品例
- ゆで卵(1個)約6gのたんぱく質。常温保存もでき、小腹を満たすのにちょうど良いです。
- サラダチキン(1パック)約20g前後。脂質が少なく、ダイエットにも向いています。
- 無糖ヨーグルト(100g)+ナッツ少量
- ヨーグルトで約4~10g、ナッツで少量の脂質と食物繊維も補える。
- チーズ(ベビーチーズ2個程度)
約8g前後。カルシウムも同時に摂取できて一石二鳥です。 - 豆乳(無調整・200ml)
約7g。コーヒーや紅茶に加えてもOK。
腎機能に不安のある方や、医師から指示を受けている方は、自己判断でたんぱく質を増やさず、必ず主治医または管理栄養士にご相談ください。
コツ5:よく噛んで、ゆっくり食べる
噛む回数が増えると、「満腹中枢」が刺激され、自然と食べ過ぎを防ぐことができます。
よく噛むと
- 早食いを防止できたり
- 消化・吸収がゆっくりになったり
- 少ない量でも満足感を感じることができ
- 血糖値の急上昇防止につながります。
いつも通りの食事でも、一口ごとに意識して20~30回噛むことを心がけてみましょう。
はじめは大変に感じるかもしれませんが、慣れてくると自然に身につきます。
さらに工夫するなら…
- 硬めの野菜(ごぼう・れんこん・にんじんなど)を取り入れる
- 玄米や雑穀米など、よく噛む必要のある主食を選ぶ
- 箸を置いてゆっくり食べることで、噛む回数が自然に増える
などもおすすめです!
他のブログやyoutubeでも、血糖値を下げるための食事法や運動のコツをわかりやすく紹介しています。
興味のある方は、こちらもぜひご覧ください。
4.まとめ
薬に頼りすぎない体づくりは、日々の積み重ねです。
今回ご紹介した5つのコツを取り入れることで、血糖値の安定が期待でき、将来的に薬の量を減らす選択肢が見えてくるかもしれません。
1つでもできそうなことから取り組んでみてください!!
当院では、医師・管理栄養士による個別の生活指導も行っています。
「薬を減らしたい」「今より良い数値を目指したい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
また、当院の糖尿病専門ページでは、より詳しい情報やよくあるご相談内容などもご覧いただけます。
糖尿病特設サイトはこちら
疑問に思ったことや不安なことがありましたら、当院医師・スタッフにお気軽にお尋ねください。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
【引用文献】
厚生労働省. 糖尿病の基礎知識と合併症について. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000191401.html
日本糖尿病学会 編. 糖尿病治療ガイド2022-2023. https://www.jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=1
国立健康・栄養研究所. 食物繊維と血糖値上昇の関係について. https://www.nibiohn.go.jp/eiken/
日本栄養士会. 高血糖の食事対策について. https://www.dietitian.or.jp/
J-stage
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/tonyobyo/67/2/_contents/-char/ja?utm_source=chatgpt.com
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