まだ病気じゃないけど…50代からの“隠れ糖尿病”を防ぐ3つの生活習慣【管理栄養士が解説】

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みなさん!こんにちは、管理栄養士の小島です。

 

特定健診受診の時期にもなってきていますが、皆様ご受診の予定はありますか?

さまざまな病気は早期発見・早期予防がとても重要です。
集団検診、個別検診のどちらでもいいので、自分に合った検診方法で受診しましょう!!

また、毎年の健康診断で「異常なし」と言われると、ほっとしますよね。
数値に大きな変化がなければ、「私は大丈夫」と思ってしまうのは自然なことです。

健康診断

でも実は、

糖尿病など生活習慣病は気づかないうちに進行してしまう病気です

血糖値やHbA1cがギリギリの範囲内だったとしても、それはまだ診断されていないだけかもしれません。

このブログを読んでいる方で、

「糖尿病って実際はどんな病気なの?」
「私は大丈夫かしら」
「最近健診を受診していない」

と思われている方は、
最後までご覧いただけると不安の解消や生活週間の改善につながるかもしれません。

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私は国家資格である管理栄養士として、年200件以上栄養指導を行い、特に糖尿病予防や食生活の改善に関するアドバイスを行っています。

当院の患者様の多くは糖尿病などの生活習慣病で通院されているため、私たち管理栄養士もより専門性の高い知識がお伝えできるように日々情報をアップデートするよう心がけています。

管理栄養士 小島さん

このブログでは、栄養指導を直接受けられない方にも、ぜひ知っていただきたい内容をまとめておりますので、気軽に読んでくださいね♪

まだ病気じゃないけど…50代からの“隠れ糖尿病”を防ぐ3つの生活習慣【管理栄養士が解説】

前置きが長くなりましたが・・・

今回の内容は、

*50歳以上
*家族に糖尿病の方がいる(家族歴がある)
*糖尿病の予備軍ではないかと不安を抱えている

という方にぜひ読んで欲しい記事となっています。

1. 健診結果が正常でも安心できない理由

「毎年健康診断を受けていて、“異常なし”って言われてるし大丈夫」
…そう思って、ついおやつを手に取ってしまっていませんか?

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実は、甘いものを好む人こそ、糖尿病にはちょっと注意が必要です。

特に、50代を過ぎると代謝が落ちてきたり、ホルモンバランスが変化したりして、血糖値が上がりやすい体になってくることが多いです。

 

しかし、糖尿病で怖いのは、「症状がまったく出ないまま進行してしまうこと」です。

症状がないまま進行してしまうと、気がついた時には、

「インスリンを開始しないといけない数値になってしまっていた」
「足の傷に気がつかず、壊疽(腐って傷んでしまう)を起こしてしまった」
「腎臓の機能が落ちて透析の手前まで症状が進行してしまった」
というケースもあります。
また糖尿病性の網膜症という、目に症状が出る合併症では
年間約3000人の人が失明してしまうような病気です。

健康診断では、異常が出ていなくても、実は“予備軍”になっているケースも少なくないのです。

さらに、健康診断の前だけ甘いものを控え、検査前に

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「今日はちょっと気をつけておこう」

なんてこと、ありませんか?

それだと、本来見えるはずの“リスク”が隠れてしまうこともあります。
いつも通りの数値を見極めるには、検診前もいつもと同じ生活を心がけると良いかもしれません。

 

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「体に特に不調はないし、甘いものを食べても元気。
だから糖尿病とは無縁だと思ってる」

そんなふうに思っている方、実はとても多いです。
血糖値が高くなっても初期のうちは、体に異常を感じることが少ないため、自分ではほとんど気づけません。
このような“気づかないうちに進行している糖尿病”のことを、一般的に「隠れ糖尿病」と言います。

特に50代の方は、

更年期でホルモンバランスが乱れやすい
基礎代謝が落ち、体重が増えやすい
忙しくて食事が不規則になりがち

といった理由から、糖尿病のリスクが高まりやすい時期です。

さらに、「健康には気をつけているつもり」「情報はきちんと読んでいる」と思っていても、

血糖値に悩む男性

忙しくて病院に行く時間が取れない

食事に悩む女性

検査の後で何をすればいいのか分からない

といった理由で、健康管理が後回しになることもあります。

実際、忙しさや生活の中で「今は体調が悪くないから」と思って、病院に行くことを先延ばしにしてしまう人は少なくありません。

そのまま放置していると、気づかないうちに糖尿病が進行してしまう可能性があるんです。

だからこそ、「まだ症状がないから大丈夫」と思わずに、隠れ糖尿病のリスクを知っておくことが予防の第一歩になります。

2.二次健診をスルーしている人が気をつけるべきポイント

健康診断で「異常なし」と言われると、一安心ですよね。
でも、その結果だけでは本当に自分の健康状態が“安全”だと言えるのかはわからないということを、あなたはご存じですか?

例えば、健康診断で「血糖値が正常範囲内」と言われても、実際にはまだ糖尿病の前段階、いわゆる「糖尿病予備軍」である可能性があります。

血糖値がちょっと高いくらいでは、まだ自覚症状もないため、「問題ない」と思ってしまいがちですが、そのまま放置すると、糖尿病が進行してしまうリスクが高くなります。

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ここで大切なのは、「二次健診(検診結果を持って病院を受診する)」ことです。

二次健診が重要な理由

糖尿病は、症状がほとんど出ないまま進行するため、初期の段階ではなかなか自覚症状が現れません。
ですから、健康診断で問題がなかったとしても、油断は禁物です。

先ほどの項でも少し触れましたが、糖尿病は放置すると、血糖値が高い状態が続くことで血管や神経にダメージを与え、最終的には視力障害、腎不全、心臓病など深刻な合併症を引き起こす可能性があります。
腎不全

初期の段階であれば、生活習慣の改善や食事管理、運動で十分に予防・改善できますが、進行してしまうと治療が難しくなることもあります。

また、「検査を受けに行く時間がない」「忙しくて病院に行くのが面倒」という理由で、二次健診を後回しにしている人も多いかもしれません。

確かに、毎日忙しい中で自分の健康のために時間を取るのは大変です。
特に仕事や家庭のことに追われていると、自分のことを後回しにしてしまいがちです。
ですが、その「ちょっとした時間」が後々の大きな健康リスクに繋がるかもしれません。

病院受診を迷っている方へ

受診した方が良いかをさらに見極めるチェックリスト
□最近喉がよく乾く
□トイレが近くなった
□週に2回以上ジュース(清涼飲料水)を飲む習慣がある
□ついつい煎餅など間食をしてしまう
□体がだるい・疲れやすい
□体重が急に減る
□目が霞む
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上記のチェックに一つでも当てはまる方は早めの受診を推奨します。

もしも糖尿病や生活習慣病が進行してしまった後では、食事制限や投薬、場合によっては入院などの治療が必要になります。その方が何倍も時間と手間がかかることになります。

二次健診を受けることで、自分の健康状態をより詳しく把握でき、もしも糖尿病の前兆があれば早期に生活習慣を見直すことができます。

電球たとえば、医師や管理栄養士からのアドバイスや指導を受け食事や運動を見直すことで、糖尿病だけでなくさまざまな生活習慣病を予防したり、進行を止めたりすることが可能です。

3.予防は病気になる前にするもの

糖尿病の予防は、病気になる前に始めることが最も大切です。
実は、自分が糖尿病のリスクを抱えていることに気づかないまま生活している人が多いのが現状です。

糖尿病になると、様々な合併症のリスクがあります。
合併症や体調不良を起こしてしまう前に、今からできる予防を始めることが、最も効果的な方法です。

予防が難しいというわけではない

「糖尿病の予防」と聞くと、どうしても

「きちんとした食事を3食必ず取らなければならない」
「毎日習慣的に運動をしなければならない」
「規則的な生活をしてればいいのでは?」
「難しいことをしなければならないんじゃないの?」
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というイメージを持ちがちです。

しかし、全てがそうとは限りません。
特に難しいことをして病気を予防するというよりは、日常生活の少しの工夫が大切です。

食事を見直すことや、適度な運動をすることで、十分にリスクを減らすことができます。
最近はレトルトや、簡単に作れる1品で食事バランスの調整ができることも多くなってきました。

予防は「早ければ早いほど効果的」

糖尿病は、病気が進行するほど治療が大変になる病気です。
最初のうちは食事や運動で改善が可能でも、進行してしまうと薬物療法が必要になったり、インスリン注射が必要になったりする場合もあります。

そのため、早い段階で予防を始めることが、ポイントとなります!

自分の体を大切にし、今できる予防策を少しずつ取り入れて、健康を守るために行動していきましょう。

4. 日常に取り入れる3つの予防習慣

糖尿病の予防には、「継続的な努力が大切」とよく言われますが、実際に続けるのが一番難しい部分ですよね。
でも、特別なことをする必要はありません。
大切なのは、少しの工夫と習慣を生活の中に取り入れること。

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忙しい毎日でもできる、実践しやすい方法を3つご紹介します。

糖質の量や質を調整する

ご存知の方も多いとは思いますが、食事の中で最も糖尿病の原因となるのは糖質です。
糖質の中でも、お砂糖や白米は血糖値の上昇に直接的な影響を与えています。

毎食の主食の量を調節する

白米(毎食のご飯)は、シンプルに量を一定にしてみることをお勧めします。
ご自身のにぎりこぶし1個分を目安にすると、秤を使用せずとも、量のコントロールができると思います。

砂糖の摂取を控える工夫

ご飯の量を一定にするのはシンプルですが、お砂糖の摂取はどの様にコントロールするのが良いのでしょうか?
お砂糖の量を減らす手っ取り早い方法としては、
「甘いお菓子やジュースを控える」
「調味料を工夫をする」 
ことをお勧めします。

ただ甘いものをやめるだけはつらいですよね。
そのため、以下のような工夫をしてみましょう

フルーツやナッツ類をおやつに
フルーツは自然の甘さがあり、ビタミンや食物繊維も豊富。
お菓子の代わりに食べると、満足感も得られます。
ナッツ類はそもそも糖質が少ないので糖尿病予防のおやつに最適と言えます。
1日10〜20粒程度のミックスナッツもおすすめです。

無糖の飲み物を選ぶ
ジュースや清涼飲料水をやめて、水やお茶(無糖)に切り替えるだけでも、かなりの糖分をカットできます。

お砂糖を「ラカント」に置き換えてみる
甘いものが食べたい、
調味料にお砂糖は欠かせない、と思われている方におすすめです。
甘い味付けが美味しい卵焼きや、ヨーグルトにお砂糖を入れるとき、
甘いコーヒーが飲みたくなってしまった時には、
糖質が入っていない「ラカント」を取り入れるのも良いのではないかと考えています。
毎食甘いものを我慢するというよりは、適度に甘いものを食べながらコントロールできると良いですね。

 

(スーパーに売っています!)

食事のタイミングも大切

食事の間隔が空きすぎると、過食しがちになります。
食事の間隔を4〜5時間を目安に調整し、適切な量を摂取するよう心がけましょう。

甘いものが減った理由

私自身も、つい甘いもの食べ過ぎてしまうことがよくあります。
でも、なぜ甘いものを食べたくなるのだろう?
と疑問を持ち論文などで調べてみると、実は甘いものが食べたくなる原因は、タンパク質が足りないのではないか!?ということにたどり着き、意識的にタンパク質を摂取するように心がけました。

例えば、食事に卵や肉、豆腐などを加え、間食にもヨーグルトなどの高タンパクなものを摂るようにする、などです。
実践してから、以前よりも甘いものを食べる欲求が減って、間食が減った様に感じています。

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栄養指導でも患者さんに積極的にお伝えすると、同じように「間食が減りました」と言っていただける機会もありました!!

自分自身で体験すると、達成感も嬉しさも大きいですね^^

適度な運動を生活に取り入れる

運動と聞くと、ジムに通わなければならないとか、長時間続けなければならないと思いがちですが、実は「少しの運動」を生活に取り入れることが大切です。

また、運動は継続が大切で、毎日でなくとも2日に1回は運動すると良いでしょう。連続して2日間運動しない日がない様にすると、管理しやすいです。

インターバルウォーキングがおすすめ◎

当院のブログを読んでくださっている方はもしかしたら聞いたことがあるかもしれませんが、みなさんは「インターバルウォーキング」をご存じでしょうか?
「インターバルウォーキング」とは、ゆっくり歩く・速く歩くを交互に繰り返すウォーキング方法です。
歩くことは最も手軽にできる運動です。血糖値をコントロールするために必要なインスリンの効き目が良くなります。
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日常の少しを運動に変えてみましょう

また、日常の中で動く時間を増やすこともとっても良い方法です。
たとえば、通勤や買い物の際に歩く時間を増やすだけでも十分な運動になります。
エレベーターではなく階段を使う、近所の公園を散歩する、などできる範囲から始めてみましょう。

家事を運動に変える

掃除や洗濯物を干すときに少し速足で動いたり、子どもと一緒に遊ぶときに軽く走ったりするだけでも、運動量は意外と増えます。

ストレス管理で心の健康も大切にする

ストレスは血糖値に大きな影響を与えることが知られています。
仕事や家庭の忙しさでストレスがたまると、食べ過ぎや運動不足に繋がることも…。
心のケアも糖尿病予防にとって重要なのです。

糖尿病が進行し、血糖値が安定しないと
低血糖や高血糖によるイライラ・不安・癇癪などを起こしてしまい
さらにストレスが溜まる⇨血糖コントロール不良につながる悪循環に陥ってしまいます。

ストレス対策をするためには、我慢するだけでなく、
リラックスする時間を作ることが大切です。

たとえば、深呼吸や軽いヨガ、お風呂でゆっくり過ごす時間を取り入れると、心が落ち着き、ストレスが軽減されます。

趣味や好きなことを楽しむ
自分の好きなことに没頭する時間を作ることも大切です。

映画を観る、読書をする、手芸を楽しむなど、好きなことをすることでリフレッシュできます。

 

まとめ

いかがでしたか?
糖尿病予防は、発病予防、重症化予防が重要ですが、特別なダイエットや激しい運動をする必要はありません!

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毎日の生活にちょっとした工夫を加えるだけで、着実に予防できます。

甘いものの摂取を少し控え、適度に体を動かし、ストレスを減らすことが、糖尿病予防には効果的です。

忙しい日々の中でもできる方法なので、まずは自分に合った予防習慣を少しずつ取り入れて、健康的な生活を送っていきましょう!

「糖尿病が気になるけど、病院に行くほどではないかな…」と感じている方も、早めの相談が将来の健康につながります。

当院では、糖尿病に特化したチームで、丁寧な診察・栄養指導を行っています。
管理栄養士と患者さん
気になる症状がある方や、自分の状態を確認したい方は、ぜひ一度ご相談ください。

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また、当院の糖尿病専門ページでは、より詳しい情報やよくあるご相談内容などもご覧いただけます。
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疑問に思ったことや不安なことがありましたら、当院医師・スタッフにお気軽にお尋ねください。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。

参考文献

引用
血糖変動と精神症状に関する国内外の研究の動向/大平哲,陣内 瑶,青山尚樹,溝口 徹
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ifcm/20/1/20_25/_pdf/-char/ja
日本糖尿病学会「糖尿病ってどんな病気?」 https://www.jds.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=2
日本糖尿病協会「糖尿病に関するQ&A」 https://www.nittokyo.or.jp/modules/beginner/index.php?content_id=5
ヒロオカクリニック「糖尿病の治療法や初期症状について」 https://www.h-cl.org/column/diabetes/
信州大学「進化したインターバル速歩 i-Walkシステム」 https://www.shinshu-u.ac.jp/zukan/cooperation/i-walk.html
日本医事新報社「インターバル速歩の概要と糖尿病治療への効果」 https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=3677
NPO法人 熟年体育大学リサーチセンター「科学的エビデンスが支えるインターバル速歩」 https://www.jtrc.or.jp/interval/interview.php

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この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している

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