血糖値を下げるために大切なのは、特定の食べ物や飲み物に頼ることではなく、食事・運動・体重管理・睡眠・必要な治療を自分に合った形で組み合わせることです。
健康診断で血糖値やHbA1cが高いと言われた方の中には、「何を食べれば下がる?」「すぐに下げる方法はある?」「運動はどのくらい必要?」と悩む方が少なくありません。
この記事では、年間約5,000人の糖尿病患者さんを診療する医師が、血糖値を下げるために今日からできる具体的な方法を、食事・運動・体重・睡眠・薬の考え方まで10項目に分けてわかりやすく解説します。
この記事を書いている医師について
目次
- この記事を書いている医師について
- 1.血糖値はなぜ高くなる?まず仕組みを知っておきましょう
- 2.血糖値を下げる前に、HbA1cと空腹時血糖を確認しましょう
- 3.血糖値を下げるには、まず食事の「量」を見直す
- 4.「食べる順番」だけで安心しない。食事全体を整える
- 5.食後に体を動かすことは血糖対策の強い味方
- 6.間食と飲み物を見直すと、意外な原因が見つかることがあります
- 7.睡眠不足と夜食も見直しましょう
- 8.過体重・肥満がある場合は、体重管理が血糖改善につながる
- 9.生活習慣だけで下がらない場合は、薬を使うことも大切です
- 10.「血糖値をすぐ下げたい」ときほど、自己流で無理をしない
- こんな症状がある場合は早めに医療機関へ
- 血糖値を下げるために、今日から何を始めればいい?
- よくある質問
- まとめ:血糖値を下げるには「続けられる方法」を積み重ねる
- 関連ブログ
- 参考文献

皆さん、こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田です。
医師として25年間、地域医療の現場で診療を行ってきました。家庭医療専門医、日本糖尿病学会正会員として、当院では年間約5,000人の糖尿病患者さんを診療しています。
糖尿病では、単に血糖値だけを見るのではなく、HbA1c、体重、血圧、脂質、腎機能、食事、運動などを総合的に評価することが重要です。
当院では、医師だけでなく国家資格を持つ管理栄養士5名の体制で、患者さんが実生活の中で続けられる食事改善についてもサポートしています。

1.血糖値はなぜ高くなる?まず仕組みを知っておきましょう
血糖値とは、血液中に含まれているブドウ糖の濃度です。
食事から摂った糖質は消化・吸収されてブドウ糖となり、血液中に入ります。
すると膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、ブドウ糖を筋肉などの細胞に取り込ませることで血糖値が調整されます。

ところが、
- インスリンが十分に分泌されない
- 肥満や内臓脂肪などによってインスリンが効きにくくなる
- 食事量が多い
- 運動不足が続く
などが重なると、血液中のブドウ糖を十分に処理できなくなり、血糖値が高くなります。(※1)
「甘いものを食べすぎたから糖尿病になった」と単純に考えられることもありますが、実際には遺伝的な体質、加齢、体重、運動習慣など複数の要素が関係しています。
ですから、「甘いものだけを禁止すれば解決する」という問題ではありません。
2.血糖値を下げる前に、HbA1cと空腹時血糖を確認しましょう
血糖値を改善したいときに、まず知っていただきたいのが、血糖値とHbA1cは同じものではないということです。
| 検査 | 何がわかる? |
|---|---|
| 血糖値 | 採血した「その時点」の血糖の状態 |
| HbA1c | 過去1~2か月程度の血糖状態を反映する指標 |
例えば、採血した日の朝食を食べていなければ血糖値が比較的低くても、日常的に食後高血糖が続いていればHbA1cが高くなっていることがあります。(※2)
逆に、一度の血糖値だけを見て「糖尿病だ」「糖尿病ではない」と判断できるとは限りません。
糖尿病型を示す代表的な検査値には、空腹時血糖126mg/dL以上、HbA1c 6.5%以上などがありますが、実際の診断は検査結果や症状などを組み合わせて行います。(※2)
健康診断で血糖値やHbA1cを指摘された場合は、「とりあえず食事を減らして様子を見る」だけではなく、一度現在の状態を確認することをおすすめします。
3.血糖値を下げるには、まず食事の「量」を見直す
血糖値を下げる食事というと、「何を食べるか」に注目しがちですが、その前に大切なのが全体の食事量です。
いくら血糖値が上がりにくい食品を選んでも、必要以上に摂取エネルギーが多く、体重が増え続けていれば、血糖値の改善は難しくなることがあります。(※3)
特に見落としやすいのが、
- 夕食の大盛り
- パンや麺とご飯の重ね食べ
- 夕食後のお菓子
- ジュースや加糖コーヒー
- アルコールと一緒に食べるおつまみ
などです。
「そんなに食べていないのですが……」と思う方もいらっしゃるでしょう。
実際、診察室でもよく聞きます。
ご本人としては食事量を減らしているつもりでも、飲み物や間食、休日の食事まで含めると、思っている以上のエネルギーを摂っていることがあります。
そのため、いきなり厳しい食事制限を始めるより、まず数日間の食事を振り返るだけでも改善点が見つかることがあります。
4.「食べる順番」だけで安心しない。食事全体を整える
「野菜から食べれば血糖値は上がりませんか?」と質問されることがあります。
野菜や食物繊維を含む食品を取り入れることは、健康的な食事を考えるうえで大切です。
ただし、野菜を最初に食べたからといって、その後に大量のご飯や麺類、菓子類を食べても問題ないわけではありません。
血糖管理では、
- 野菜や食物繊維を取り入れる
- 魚・肉・卵・大豆製品などのたんぱく質を適量摂る
- 主食量を自分に合った量にする
- 加工度の高い食品や糖分の多い食品に偏りすぎない
といった食事全体の質と量を考えることが重要です。(※3)
「糖尿病になったらご飯を食べてはいけないの?」と不安になる必要もありません。
大切なのは「ゼロにすること」ではなく、患者さんごとの体格、活動量、治療内容などに合わせて適量を考えることです。

5.食後に体を動かすことは血糖対策の強い味方
血糖値を改善するために、食事と並んで重要なのが運動です。
筋肉はブドウ糖を利用する大きな組織です。身体活動を増やすことは、血糖管理やインスリン感受性の改善に役立ちます。(※3)

だからといって、「毎日ジムに行かなければ糖尿病は改善しない」ということではありません。
例えば、
- 食後に少し歩く
- エレベーターではなく階段を使う
- 買い物では少し遠い場所に車を停める
- 家事や掃除で身体を動かす
- 可能ならウォーキングと筋力トレーニングを組み合わせる
など、「今より少し動く」ことから始めるのもよい方法です。
「仕事が忙しくて30分も歩く時間がありません」という方も多いと思います。
その場合は、最初から完璧を目指す必要はありません。
10分程度でも、まず身体を動かす習慣を作ることの方が大切です。
血糖値やHbA1cについて、もう少し詳しく知りたい方へ
糖尿病の検査、治療、合併症予防、当院での診療内容について詳しくご紹介しています。「自分は受診した方がいいのかな?」と迷っている方も参考にしてください。
6.間食と飲み物を見直すと、意外な原因が見つかることがあります
「食事には気をつけているのに血糖値が下がりません」という患者さんでは、間食や飲み物が影響していることがあります。
例えば、
- 砂糖入りのジュース
- スポーツドリンク
- 加糖の缶コーヒー
- 砂糖入りの紅茶
- お菓子を少量ずつ何度も食べる
などです。
「ジュースを1本飲むだけだから大丈夫」と思われるかもしれません。
しかし、液体から摂取する糖質は意識せず摂りやすいため、毎日の習慣になっている場合は見直す価値があります。
一方で、糖尿病になったからといって「一生お菓子禁止」と考える必要もありません。
量、頻度、食べるタイミングを考えながら、長く続けられる方法を探すことが重要です。
こちらの記事も参考にしてください
7.睡眠不足と夜食も見直しましょう
血糖値というと、食事と運動だけに注目しがちですが、睡眠や生活リズムも無視できません。
睡眠不足や不規則な生活は、食欲や代謝、身体活動などにも影響し、糖尿病管理を難しくする一因になります。(※3)
また、夜遅くまで起きていると、
- 夕食後にもう一度食べてしまう
- お菓子やお酒が増える
- 翌朝に食欲がなくなり、食事時間が乱れる
といった生活パターンにつながることもあります。
「夜食を絶対に食べてはいけない」と単純化するより、自分がどの時間帯に余分なエネルギーを摂りやすいのかを振り返ってみてください。
8.過体重・肥満がある場合は、体重管理が血糖改善につながる
2型糖尿病で過体重や肥満がある方では、体重管理は治療の重要な柱です。(※4)
体脂肪、特に内臓脂肪が増えると、インスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」が強くなりやすくなります。
そのため、適切な減量によって血糖値やHbA1cが改善する方がいます。
ただし、ここでも「10kg痩せればいい」「標準体重まで一気に落とさなければ」と考える必要はありません。
年齢、現在のBMI、筋肉量、使用している薬などによって、適切な減量目標は異なります。
特に高齢者では、無理な減量によって筋肉まで落ちてしまうことがあります。
体重を減らすことだけでなく、筋肉を保ちながら健康的に体重を管理することが大切です。

9.生活習慣だけで下がらない場合は、薬を使うことも大切です
「できれば薬を飲みたくありません」
これは診療中によく伺う希望です。
そのお気持ちはよくわかります。
食事や運動で改善できる部分があれば、もちろん取り組む価値があります。
ただし、血糖値が高い状態が続いているにもかかわらず、「薬を飲みたくないから」という理由だけで治療を先延ばしにすることはおすすめできません。
糖尿病治療の目的は、薬をゼロにすることではなく、将来の網膜症、腎症、神経障害、心血管疾患などのリスクをできるだけ下げ、健康な生活を長く続けることです。(※5)
現在の糖尿病治療薬にはさまざまな種類があり、血糖値だけではなく、体重、腎臓、心臓、低血糖リスクなどを考慮しながら選択します。(※5)
「薬を飲み始めたら一生やめられない」とは限りません。生活習慣や体重が改善し、血糖値も改善すれば、患者さんによっては薬の量や種類を見直せる場合があります。自己判断で中止せず、主治医と相談してください。

10.「血糖値をすぐ下げたい」ときほど、自己流で無理をしない
インターネットでは、
- 血糖値をすぐ下げる食べ物
- 血糖値を一瞬で下げる飲み物
- 翌日までに血糖値を下げる方法
などを探している方も少なくありません。
しかし、特定の食品や飲み物だけで高血糖を安全に治療できるわけではありません。
特に著しい高血糖では、生活習慣の改善だけではなく、医療的な評価や治療が必要になることがあります。(※6)
こんな症状がある場合は早めに医療機関へ
- 異常にのどが渇く
- 尿の回数や量が非常に増えた
- 急に体重が減ってきた
- 強い倦怠感がある
- 吐き気や嘔吐がある
- 意識がぼんやりする
このような症状があり血糖値が高い場合は、「食事を減らして数週間様子を見る」のではなく、早めに医療機関へ相談してください。
血糖値は「低ければ低いほどよい」というものでもありません。
糖尿病薬やインスリンを使用している方が自己判断で食事を極端に減らしたり、薬を増やしたりすると、低血糖を起こす危険があります。
血糖値を下げるために、今日から何を始めればいい?
ここまでいろいろ説明してきましたが、「結局、今日から何をすればいいの?」と思いますよね。
全部を一度に変える必要はありません。
まずは、この中から1つ選んでください
- 甘い飲み物を水・お茶に変える
- 大盛りを普通盛りに変える
- 食後に10分程度歩いてみる
- 夕食後のお菓子を毎日から回数を減らす
- 体重を定期的に測る
- 健康診断で指摘されているならHbA1cを確認する
糖尿病治療は、1週間だけ頑張る競技ではありません。
半年、1年、5年と続けられる方法を見つける方が大切です。
よくある質問
Q.血糖値を下げる飲み物はありますか?
A.特定の飲み物だけで高血糖を治療することはできません。まずは糖分を含むジュースや加糖飲料を日常的に飲んでいる場合に、それらを水や無糖のお茶などへ置き換えることを検討してください。
Q.血糖値を下げるには、ご飯を食べない方がいいですか?
A.糖質を完全にゼロにすればよいというものではありません。体格、活動量、薬などによって適切な食事量は異なります。主食を極端に抜くより、食事全体のバランスや量を確認することが大切です。
Q.運動するとすぐ血糖値は下がりますか?
A.身体活動は血糖管理に役立ちますが、効果は患者さんの状態や運動内容によって異なります。糖尿病薬やインスリンを使用している方では低血糖にも注意が必要なため、治療内容に応じて運動方法を考えます。
Q.HbA1cがなかなか下がらないのはなぜですか?
A.食事だけではなく、体重、運動量、インスリン分泌能力、使用している薬など複数の要因が関係します。生活を頑張っているのに改善しない場合は、「努力不足」と決めつけず治療内容を確認することが大切です。
HbA1cがなかなか下がらない方はこちらの記事もご覧ください
まとめ:血糖値を下げるには「続けられる方法」を積み重ねる
血糖値を下げるために、特殊な食品や極端な方法を探す必要はありません。
大切なのは、
- 現在の血糖値とHbA1cを把握する
- 食事全体の量と質を見直す
- 身体活動を増やす
- 間食・飲み物を確認する
- 睡眠や夜食を見直す
- 過体重・肥満があれば適切に体重管理する
- 必要な場合は薬物治療を行う
という基本を、自分に合った形で継続することです。
そして、血糖値が高い状態が続いている場合は、生活習慣だけで何とかしようと長期間放置しないことも重要です。
糖尿病は早い段階から適切に管理することで、将来の合併症を予防することが治療の大きな目的になります。
「健診で血糖値を指摘された」「HbA1cが下がらない」「何から始めればいいかわからない」という方は、一度現在の状態を確認してみてください。
血糖値・HbA1cが気になっている方へ
「まだ薬が必要なのかわからない」「食事をどう変えればいいかわからない」という段階でも大丈夫です。当院では血糖値だけではなく、体重、血圧、脂質、腎機能、生活習慣まで総合的に確認し、必要に応じて管理栄養士とも連携して治療を考えます。

関連ブログ





参考文献
※1 American Diabetes Association Professional Practice Committee. Diagnosis and Classification of Diabetes: Standards of Care in Diabetes—2026. Diabetes Care. 2026;49(Suppl 1).
※2 国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター.糖尿病は早く見つけましょう.2026.
※3 American Diabetes Association Professional Practice Committee. Facilitating Positive Health Behaviors and Well-being to Improve Health Outcomes: Standards of Care in Diabetes—2026. Diabetes Care. 2026;49(Suppl 1).
※4 American Diabetes Association Professional Practice Committee. Obesity and Weight Management for the Prevention and Treatment of Type 2 Diabetes: Standards of Care in Diabetes—2026. Diabetes Care. 2026;49(Suppl 1).
※5 American Diabetes Association Professional Practice Committee. Pharmacologic Approaches to Glycemic Treatment: Standards of Care in Diabetes—2026. Diabetes Care. 2026;49(Suppl 1).
※6 American Diabetes Association Professional Practice Committee. Glycemic Goals, Hypoglycemia, and Hyperglycemic Crises: Standards of Care in Diabetes—2026. Diabetes Care. 2026;49(Suppl 1).
参考:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」「糖尿病治療の手びき2026」


