
甘いものは控えているし、太っていないから自分は糖尿病とは無縁
もし、あなたがそのように考えているなら、少しだけ立ち止まってこの記事を読んでみてください。
実は「糖尿病は生活習慣が乱れた太った人だけがなる病気」というのは、大きな誤解です。
最新の医学研究によって、糖尿病になる人とならない人の間には、単なる生活習慣の違いだけでは説明できない「決定的な身体の仕組みの違い」があることが分かってきました。
本日は、なぜ痩せている日本人でも糖尿病になりやすいのか、その医学的な理由と、今日からできる具体的な対策についてお話しします。

皆さん、こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田です。
私は医師歴25年の家庭医療専門医として、地域医療の最前線で診療にあたっています。当院では日本糖尿病学会正会員として、年間約5000人の生活習慣病ケアを行っており、多くの患者さんの健康をサポートさせていただいています。
糖尿病は痛みも痒みもなく進行し、ある日突然、失明や足の切断といった重大な合併症を引き起こす怖い病気です。
しかし、正しく恐れ、正しい対策をとれば、十分に予防・改善が可能です。
なぜ日本人は「痩せていても」糖尿病になるのか?
目次
まず、私たち日本人が抱えている「遺伝的なハンディキャップ」についてお話しなければなりません。
理由はインスリン分泌能力の低さ
日本人は欧米人に比べて、遺伝的に「インスリンを分泌する能力」が低いことが分かっています(※1)。
インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンですが、日本人の膵臓(すいぞう)は、このホルモンを出す力が弱く、少しの過食や運動不足でも処理能力を超えてしまいやすいのです。

痩せ型の患者さんのケース
以前、当院に来院された70代の女性、田中さん(仮名)の例をご紹介します。
田中さんは非常にスリムで、ご自身でも「私は太っていないから大丈夫」と信じていました。
しかし検査の結果、血糖値は糖尿病の基準を大きく超えていました。
詳しく調べると、田中さんは長年の運動不足により筋肉が極端に落ちており、その隙間に脂肪が入り込む「サルコペニア肥満」の状態でした。
見た目は痩せていても、身体の中では糖の処理が追いついていなかったのです。

糖尿病を招く「第3の脂肪」と筋肉の関係
ここで重要なのが、内臓脂肪や皮下脂肪に続く「第3の脂肪(異所性脂肪)」の存在です。
脂肪細胞からあふれ出した脂肪が、本来つくはずのない筋肉や臓器に入り込むと、インスリンの効き目を悪くする「インスリン抵抗性」を引き起こします(※2)。
食事制限だけではダメですか?
ここまで読んで、

私は食事には気を使っているし、野菜中心だから大丈夫なはず!
と思われた方もいるかもしれません。そのお気持ち、よく分かります。
食事管理は素晴らしい心がけです。
しかし、残念ながらそれだけでは不十分な場合があります。
なぜなら、食事で摂った糖分の約7割は「筋肉」で消費されるからです。
筋肉は糖を取り込む「巨大なスポンジ」の役割を果たしています。
筋肉の細胞にある「GLUT4(グルートフォー)」という扉が開くことで糖が取り込まれます(※3)。つまり、いくら食事に気をつけても、糖の受け皿である「筋肉」が減ってしまえば、行き場を失った糖が血管にあふれ出し、血糖値は上がってしまうのです。
医師が推奨する対策:食後15分のスクワット
では、遺伝的にインスリンが弱く、筋肉が落ちやすい私たちはどうすれば良いのでしょうか。
答えは「食後に筋肉を動かすこと」です。特におすすめなのが「食後15分のスクワット」です。
なぜ「食後」で「スクワット」なのか
- タイミングの根拠:食後すぐ〜15分以内に運動することで、消化吸収された糖が血液中に急増するタイミングを狙い撃ちし、筋肉に素早く取り込ませることができます(※4)。
- 部位の根拠:全身の筋肉の約7割は下半身に集中しています。太ももなどの大きな筋肉を使うスクワットは、最も効率的に糖を消費できる運動です。
まずは10回からでOKです
「毎日スクワットなんて続かない」「膝が痛い」という不安もあるかと思います。無理をして何十回もやる必要はありません。
まずは1日1回、食後に10回だけで構いません。
椅子に座ったり立ったりする動作でも十分な効果があります。
「食べた糖を筋肉に流し込む」イメージで、少しだけ身体を動かしてみてください。

まとめ:早期発見が未来を守ります
糖尿病は「太った人の病気」ではなく、「インスリンの働きと筋肉量のバランスが崩れた状態」です。
健康診断で以下の数値が出ている方は、予備群または糖尿病の可能性があります。
- 空腹時血糖値:100〜125mg/dL(予備群)
- HbA1c:5.6%〜6.4%(予備群)
当院は千葉市、茂原市、一宮町など広範囲から患者さんが来院されています。
「まだ薬は飲みたくない」「生活習慣で改善したい」というご相談も大歓迎です。手遅れになる前に、一度専門医にご相談ください。
関連ブログ
参考文献
- ※1 Fukushima M, et al. Insulin secretion and insulin sensitivity at different stages of glucose tolerance: a cross-sectional study of Japanese type 2 diabetes. Metabolism. 2004.
- ※2 Shulman GI. Ectopic fat in insulin resistance, dyslipidemia, and cardiometabolic disease. N Engl J Med. 2014.
- ※3 Richter EA, Hargreaves M. Exercise, GLUT4, and skeletal muscle glucose uptake. Physiol Rev. 2013.
- ※4 Haxhi J, et al. Exercise and the Prevention of Type 2 Diabetes. 2013.

