オゼンピックは痩せる?GLP-1(ウゴービ)ダイエットの効果と副作用【医師解説】

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【医師が解説】オゼンピック(ウゴービ)は本当に痩せる?論文から見るGLP-1ダイエットの効果と注意点

「注射するだけで楽に痩せる」
「無理な食事制限は不要」

SNSなどで「オゼンピック」という名前で話題のGLP-1ダイエット。手軽さから興味をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

この治療は、正しく使えば肥満に悩む方にとって大きな助けとなりますが、その一方で多くの誤解も生んでいます。

今回は、世界的に権威のある医学雑誌に掲載された研究結果を基に、GLP-1ダイエットの真実を解説します。

そして、なぜ当院が「オゼンピック」ではなく、肥満症治療薬として承認された「ウゴービ®」を使い、専門的な栄養指導と組み合わせているのか、その理由もお伝えします。

まず知ってほしい「オゼンピック」と「ウゴービ」の違い

多くの方が「GLP-1ダイエット=オゼンピック」というイメージをお持ちですが、この2つは同じ成分(セマグルチド)でありながら、日本国内での承認目的が異なります。

オゼンピック®: 糖尿病の治療薬として承認されている薬。

ウゴービ®: 肥満症の治療薬として承認されている薬。

つまり、ダイエット(肥満症治療)を目的として国から正式に承認されているのは「ウゴービ®」なのです。

当院では、患者様の安全を第一に考え、医学的な根拠に基づき、肥満症治療の目的で承認された「ウゴービ®」を自費診療にて処方しています。

驚きの研究結果!GLP-1で体重が-15.3kg減少

では、このGLP-1受容体作動薬(セマグルチド)には、どれほどの効果があるのでしょうか。

世界で最も権威のある医学雑誌の一つ『ニューイングランドジャーナルオブメディスン』に掲載された研究を見てみましょう。

 

【研究の概要】

対象者: 糖尿病ではない肥満の成人 1,961名

平均体重:105.3kg

平均BMI:37.8(※身長170cmなら体重109kgに相当)

研究方法:

第1群:セマグルチド2.4mgを週1回注射

第2群:プラセボ(偽薬)を週1回注射

研究期間: 68週間(約1年5ヶ月)

【研究の結果】

セマグルチド群:体重が平均 -15.3kg 減少(-14.9%)

プラセボ群:体重が平均 -2.6kg 減少

この素晴らしい結果は、肥満に悩む方にとって大きな希望となります。しかし、この結果を正しく理解するためには、知っておくべき3つの重要なポイントがあります。

【重要】研究結果を鵜呑みにしてはいけない3つの理由

この研究の参加者は平均BMIが37.8と、医学的に「高度肥満」に分類される方々でした。

「美容のためにもう少し痩せたい」というBMIが標準域の方が、同じように使った場合にどのような効果や副作用が出るかは、まだ十分に研究されていません。安易な使用は注意が必要です。

この研究で使われた2.4mgという量は、肥満症治療薬「ウゴービ®」で用いられる維持用量です。これは、糖尿病治療薬「オゼンピック®」の日本での上限量1.0mgよりも高用量です。
単に「オゼンピックを使えば同じ効果が出る」というわけではないことを理解しておく必要があります。

これが最も重要なポイントです。
この研究では、薬を注射する群も、偽薬を注射する群も、両方の参加者が以下の生活習慣改善指導を受けていました。

食事療法: 1日の摂取カロリーから500kcal減らす

運動療法: 週に150分程度の有酸素運動を行う

つまり、この「-15.3kg」という結果は、薬の力と、専門的な食事・運動療法を組み合わせることで初めて達成されたものなのです。「薬を打つだけで痩せた」わけでは決してありません。

当院が「管理栄養士による栄養指導」にこだわる理由

上記の研究結果からも分かる通り、ウゴービ®のようなGLP-1受容体作動薬は、あくまで食欲をコントロールし、生活習慣の改善をサポートするための「補助輪」です。

薬の効果を最大限に引き出し、治療終了後もリバウンドしない健康的な身体を手に入れるためには、食事や運動といった生活習慣そのものを見直すことが不可欠です。

だからこそ、当院では単に薬を処方するだけではありません。4名の管理栄養士が在籍し、患者様一人ひとりに合わせた専門的な栄養指導に力を入れています。

森川さん栄養指導

ただ薬を渡して終わり、にはしません。

あなたのライフスタイルに合わせた、無理なく続けられる食事プランを一緒に考えます。

医学的根拠に基づき、副作用のリスクを管理しながら、安全で効果的な減量をサポートします。

これが、他のクリニックにはない、当院ならではの「健康的に痩せる」ための肥満治療です。

まとめ:「オゼンピック」でのダイエットを考える前に

「オゼンピック」という名前で広まっているGLP-1ダイエットですが、肥満症治療のためには、その目的で承認された「ウゴービ®」を、医師の適切な管理のもとで使用することが重要です。

そして、本当の意味で健康的に痩せるためには、薬の力を借りながら、プロの指導のもとで生活習慣を改善していくことが最も確実な道です。

ご自身の体重や健康について真剣にお悩みなら、まずは専門の医療機関にご相談ください。当院では、肥満症治療薬「ウゴービ®」と管理栄養士の栄養指導を組み合わせた、科学的根拠に基づく肥満治療プログラムをご提供しています。

▼当院の肥満治療(ウゴービ®・栄養指導)について、詳しくはこちらをご覧ください。

参考文献

当記事は、以下の医学論文や公的資料を参考に作成しています。

  1. Once-Weekly Semaglutide in Adults with Overweight or Obesity.

    • 掲載誌: The New England Journal of Medicine (2021)

    • 著者: Wilding JPH, et al.

    • 概要: この記事で主に解説した、糖尿病のない肥満症患者さんに対して、週1回のセマグルチド2.4mgが大幅な体重減少効果をもたらすことを示した根幹となる論文です(STEP 1試験)。

  2. Semaglutide and Cardiovascular Outcomes in Obesity without Diabetes.

    • 掲載誌: The New England Journal of Medicine (2023)

    • 著者: Lincoff AM, et al.

    • 概要: 肥満症治療薬としてのセマグルチド(ウゴービ®)が、単に体重を減らすだけでなく、心筋梗塞や脳卒中といった心血管系の病気のリスクを20%低下させることを証明した、非常に重要な論文です(SELECT試験)。

  3. ウゴービ®皮下注 添付文書

    • 発行: ノボ ノルディスク ファーマ株式会社

    • 概要: 日本国内で肥満症治療薬として承認される際の根拠となった用法・用量、効果、副作用などが記載された公式な文書です。当院では、この添付文書の記載を遵守し、安全な治療を心がけています。

  4. 肥満症診療ガイドライン2022

    • 発行: 日本肥満学会

    • 概要: 日本の肥満症診療における標準的な指針を示すガイドラインです。治療の必要性や方法について、科学的根拠に基づいてまとめられています。

この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している

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