痩せているのに糖尿病が良くならないのはなぜ?食事を減らす前に確認したいこと

痩せているのに糖尿病が良くならないと悩む女性と、食事を減らす前の確認を促すイラスト 院長ブログ

「太っていないのに、どうして糖尿病になるのでしょうか」
「ご飯を減らして1〜2kg痩せたのに、HbA1cが下がりません」
「これ以上、何を我慢すればいいのですか?」

外来でも、こうしたご相談は少なくありません。食事に気をつけているのに結果が変わらないと、努力が足りないように感じてしまいますよね。

最初にお伝えしたいのは、痩せている方の糖尿病では、「もっと体重を落とすこと」が解決策とは限らないということです。インスリンを出す力、筋肉の状態、食事量と治療の組み合わせを確認することが大切です。(※1〜3)

皆さん、こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田です。医師歴25年の家庭医療専門医で、日本糖尿病学会正会員として、年間延べ約5,000人の糖尿病の患者さんを診察しています。

今回は、痩せ型・普通体重で糖尿病を治療中の方へ、「食事をさらに減らす前に確認したいこと」をお話しします。

痩せているのに糖尿病になるのはなぜ?

血糖値にはインスリンを出す力と筋肉の量・働きが関わることを示すイラスト

糖尿病は、体重だけで決まる病気ではありません。血糖値を下げるホルモンである「インスリン」の量が足りない、または効きにくいことで、血液中の糖が増えます。2型糖尿病でも、この両方がどの程度関わるかは人によって異なります。(※1・※5)

インスリンを出す力には個人差があります

同じ食事量でも、膵臓から必要なインスリンを十分に出せる方もいれば、出す量やタイミングが追いつかない方もいます。体質や病気の経過などが関係するため、「太っていないからインスリンも十分に出ている」とは言えません。(※1)

「家族と同じものを食べているのに、なぜ私だけ?」と思うのは自然です。ただ、同じ食事でも、体が処理できる量は同じではありません。血糖値が下がらないことを、食べすぎや努力不足だけで説明することはできません。

筋肉の量と働きも、血糖値に関わります

筋肉は、血液中の糖を取り込み、エネルギーとして使う大切な場所です。筋肉量が少ないことや、体を動かす機会が少ないことは、糖を処理する力に影響します。

筋肉を動かすこと自体にも、糖の取り込みを促す働きがあります。(※3・※6)

ただし、「痩せている人は全員筋肉不足」「筋肉を増やせば必ず改善する」という意味ではありません。体重が軽くてもインスリンが効きにくい場合はあり、筋肉量だけで原因を決めつけないことが大切です。(※1・※5)

BMI22〜23なら、さらに痩せる必要がありますか?

減量が必要か医師に相談し、必要な栄養と筋肉を守ることを伝えるイラスト

BMIは「体重kg÷身長m÷身長m」で計算します。成人の一般的な分類では18.5未満が低体重、18.5以上25未満が普通体重です。つまり、BMI22〜23は通常「普通体重」に入ります。

ただし、BMIでは筋肉と脂肪の内訳までは分かりません。年齢、腹囲、これまでの体重変化、食事量、筋力なども合わせて、減量が必要かを判断します。(※2・※5)

肥満のある2型糖尿病では、適切な減量が血糖改善に役立ちます。一方、普通体重や低体重の方に同じ目標を当てはめることはできません。必要以上に食事を減らすと、栄養不足や筋肉の減少につながるおそれがあります。(※2・※4)

「でも、糖尿病は痩せた方がいいと聞きました」
そう考えて食事を減らしてきた方も多いと思います。だからこそ、次の目標を「あと2kg減らす」にする前に、「今の私に減量は必要ですか」と確認してください。

1〜2kg痩せてもHbA1cが下がらないときに見ること

体重が減っても、インスリン不足が十分に補われていなければ、血糖値が改善しにくいことがあります。また、減った体重が脂肪なのか、筋肉や水分も含むのかは、体重計の数字だけでは分かりません。(※1・※2)

HbA1cは、過去1〜2か月程度の血糖の状態を反映します。数日前に体重が減っただけでは、変化が十分に表れていない場合もあります。反対に、数か月続けても改善しないなら、食事量だけでなく治療全体を見直す必要があります。(※1・※4)

  • 体重は、いつから、どのくらいの速さで減ったか
  • 空腹時と食後、どの時間帯の血糖値が高いか
  • 食事を減らしてから、疲れやすさや筋力低下を感じていないか
  • 薬の使い方、副作用、体重減少への影響はないか

例えば、「BMI22で、ご飯もおかずも減らし続けている。体重は減ったが、階段がつらくなった」という場合、追加の減量より、栄養や筋力、インスリン分泌を確認したい状況です。これは説明のための例で、実際の患者さんの体験談ではありません。

「もっと減らすべき?」と迷ったら、今の食事を一緒に確認しましょう

当院は国家資格をもつ管理栄養士5名体制です。減らしすぎているもの、不足しているもの、血糖値に影響する食べ方を、普段の食事に合わせて考えます。まずは診療内容をご覧ください。

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外来では、体重以外の「原因の手がかり」を確認します

診察で確認するインスリン分泌、食事・筋力・体重の変化、糖尿病のタイプの3項目

インスリンがどのくらい出ているか

必要に応じて、インスリンと一緒に作られる「Cペプチド」という物質を測り、自分の膵臓からインスリンを出す力を調べます。血糖値、食事との時間関係、腎機能などで解釈が変わるため、数値一つで判断する検査ではありません。(※1)

食事量と筋力、体重の経過

食事の内容や量、歩く機会、椅子から立ち上がる動作などを伺い、必要に応じて筋力や体組成も評価します。家庭用体組成計の筋肉量は参考になりますが、水分状態などの影響もあるため、それだけで診断しません。(※2・※3)

2型糖尿病以外の原因がないか

大人になってからゆっくり進行する1型糖尿病や、膵臓の病気などが関係する場合もあります。経過から必要と判断すれば、GAD抗体などの検査や専門医への紹介を検討します。痩せ型だから全員に同じ検査を行うわけではありません。(※1)

食事・運動・薬は、「今の体に合う方法」へ

必要な栄養をとり、無理なく体を動かし、薬も医師と相談する3つの場面

食事は、必要な栄養を確保しながら整える

「食事を減らさなくてよいなら、好きなだけ食べてよいのですか?」
これまで我慢してきた分、そう思うかもしれません。目指すのは、食べ放題でも、際限のない制限でもなく、ご自身に必要な量とバランスです。(※2・※6)

  • ご飯などの主食を自己判断で抜き続けず、適量を相談する
  • 魚・肉・卵・大豆製品などの主菜が、食事から抜けていないか確認する
  • 野菜だけ、麺だけなど、偏った食事になっていないか振り返る

腎臓病がある方などは、たんぱく質の量にも調整が必要です。「筋肉のため」とプロテインを一律に追加せず、主治医や管理栄養士に確認してください。(※6)

運動は、体重を減らすためだけに行うものではありません

2型糖尿病では、歩行などの有酸素運動と、筋肉に負荷をかける運動が血糖管理に役立ちます。体重が変わらなくても、体を動かすことには意味があります。(※3)

運動が可能な方なら、短い散歩や、安定した椅子を使ったゆっくりした立ち座りなど、無理なくできることから相談しましょう。膝の痛み、心臓病、網膜症、低血糖の起こりやすい薬などによって、適した内容は変わります。強い高血糖や体調不良があるときは、運動を増やす前に受診してください。(※3)

不足しているインスリンを補う治療が必要なこともあります

薬は、血糖値だけでなく、インスリン分泌、体重、腎機能、低血糖のリスクなどから選びます。インスリン不足が強い場合には、注射で補う治療が必要になることもあります。(※4・※5)

「注射になるのは、自分の管理が悪かったからですか?」と心配される方もいます。そう受け止めてしまうお気持ちは分かります。しかし、必要な治療は体の状態で決まります。薬を増やすことやインスリンを使うことは、努力不足の証拠ではありません。

体重が減り続けている場合は、そのこともお伝えください。薬を自己判断で中止せず、効果と負担の両面から相談しましょう。(※4・※5)

「痩せたから良くなった」と考えず、早めに相談したい症状

食事を減らしていないのに体重が落ちる、のどが異常に渇く、尿が増える、強くだるい場合は、高血糖や別の病気が関係している可能性があります。次回の定期受診を待たず、医療機関へご相談ください。(※1)

さらに、吐き気・嘔吐、腹痛、呼吸がおかしい、意識がぼんやりするといった症状がある場合は、急いで医療機関へ連絡してください。意識障害などがあれば119番です。(※1)

診察では、このひと言から相談してください

「食事を減らして体重も落ちましたが、血糖値が良くなりません。これ以上痩せる必要があるのか、インスリンや筋肉の状態も含めて相談したいです」

最近の検査結果、お薬手帳、体重の変化が分かるメモがあると、経過を整理しやすくなります。いつもの食事の写真も参考になります。すべてそろっていなくても構いません。

大切なのは、「もっと我慢する方法」を一人で探し続けないことです。必要な栄養と筋肉を守りながら、ご自身の体に合う治療を一緒に考えましょう。

「これ以上、何を減らせばいいの?」を、診察で相談しませんか

あまが台ファミリークリニックでは、医師と管理栄養士が、検査結果と日々の食事の両面から治療を支えます。千葉県長生郡長生村にあり、千葉市、茂原市から通院可能です。現在治療中の方も、困っていることをそのままお聞かせください。

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参考文献・参考資料

  • ※1 日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン2024』第1章「糖尿病診断の指針」。
  • ※2 日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン2024』第3章「食事療法」。
  • ※3 日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン2024』第4章「運動療法」。
  • ※4 日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン2024』第2章「糖尿病治療の目標と指針」。
  • ※5 日本糖尿病学会「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム(第2版)」。糖尿病 66巻10号、715–733、2023年。
  • ※6 国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター「糖尿病の食事のはなし(基本編)」「糖尿病の治療ってどんなものがあるの?」。

医学情報確認日:2026年10月21日。治療目標や食事・運動の内容は、年齢、栄養状態、合併症などに合わせて主治医と相談してください。

この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医
  • 日本糖尿病学会正会員、日本睡眠学会所属、日本肥満学会所属

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している

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