糖尿病の治療に疲れた方へ|食事制限と数値のストレスを相談するには

院長ブログ

「食事に気をつけているのに、またHbA1cが上がっていた」
「好きなものを食べるたびに、罪悪感がある」
「次の診察に行くのが、少し憂うつ……」

糖尿病を良くしたい気持ちはあるのに、治療を続けること自体に疲れていませんか。

仕事や家事、親の介護をこなしながら、食事・薬・運動・通院まで気を配る。毎日続けていれば、しんどくなる時もあります。

「治療に疲れました」は、診察で伝えてよい、大切な相談です。数値が良くなってから話そうと、待つ必要はありません。

皆さん、こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田です。

医師歴25年の家庭医療専門医で、日本糖尿病学会正会員として、年間延べ約5,000人の糖尿病の患者さんを診察しています。

今回は、食事制限や数値のプレッシャーを抱えている方へ、治療の負担を整理し、診察で相談するためのヒントをお伝えします。

糖尿病の治療に疲れるのは、意志が弱いからではありません

糖尿病では、日々の自己管理や将来への心配が、心の負担になることがあります。
医学では「糖尿病に伴う精神的負担(diabetes distress)」と呼ばれ、治療で配慮すべき課題として取り上げられています。(※1)

例えば、こんな気持ちです。

  • 食べてよいものを考え続けるのがつらい
  • 検査結果を見ると、自分を否定されたように感じる
  • 家族の「それ、食べて大丈夫?」が重荷になる
  • 薬や注射、通院の予定に生活を合わせるのが大変

 

「でも、これくらい我慢しなければ」と思う方もいるでしょう。
体を大切にしたいからこそ、弱音を言いにくいのですよね。

ただ、つらさを抱えたままでは、治療から気持ちが離れてしまうこともあります。
負担を減らす相談も、糖尿病治療の一部です。
気持ちの負担と、うつ病は同じものではありませんが、重なることもあるため、必要に応じて両方を確認します。(※1・※2)

HbA1cは、あなたの頑張りを採点する点数ではありません

HbA1cが上がると、「またできなかった」と落ち込むかもしれません。
でも、検査結果は、次の治療を考えるための情報です。
努力や人柄を評価するものではありません。

目標値や治療方法は一律ではなく、病状、低血糖の起こりやすさ、生活状況なども踏まえて考えます。日本糖尿病学会も、合併症の予防に加えて、心理的な負担や生活の質を重視しています。(※3)

「それなら、数値を気にしなくてよいのですか?」と思われるかもしれません。
気にし続ける毎日から離れたいお気持ちは分かります。

大切なのは、結果を無視することではなく、数値と一緒に「今の治療を続けるつらさ」も医師に伝えることです。

「私の今の目標はどのくらいですか」
「その目標を目指すために、まず何を優先しますか」
と聞いてみてください。

食事制限がストレスなら、「やめるもの」より「残したい楽しみ」を相談

「ご飯もおやつも減らしたら、食事が楽しみではなくなった」。
そんなときは、好きな食べ物を隠さず教えてください。

糖尿病の食事療法では、適切な量と栄養のバランスを考えることが基本です。
「糖尿病だから、好きな食品はすべて禁止」と一律に考える必要はありません。
ただし、腎臓病などを合併している場合は、別の調整が必要なことがあります。(※4)

「一度食べると止まらなくなりそうで怖い」という方もいますよね。
そうした不安も含めて、量・頻度・買い方を一緒に考えましょう。

  • 甘いものが楽しみなら、いつ・どのくらいなら取り入れられるかを相談する
  • 家族と別の料理を作るのが大変なら、同じおかずで量や組み合わせを調整できるか考える
  • 介護や仕事で自炊が難しいなら、惣菜やコンビニで普段買うものを見てもらう

「食べたものを全部記録しなければ」と構える必要はありません。相談のきっかけは、いつもの食事の写真1枚でも大丈夫です。必要な記録は、その後に相談して決めましょう。

「何を食べるか考えるだけで疲れる」も、ご相談ください

当院は国家資格をもつ管理栄養士5名体制で、食事の相談を行っています。まずは診療内容をご覧いただき、ご自身の生活に合う方法を相談するきっかけにしてください。

当院の糖尿病診療・サポートを見る治療のつらさを相談する|WEB予約

電話でのご相談:050-3

診察では、このひと言からで大丈夫です

「忙しそうな先生に、気持ちの話までしてよいのでしょうか」。
遠慮して、いつも「大丈夫です」と答えてしまう方もいると思います。

そんなときは、診察の最初に次のように伝えてみてください。

「治療は続けたいのですが、今のやり方がつらくなっています。負担を減らせるところを相談したいです」

言葉にしにくければ、この画面やメモを見せても構いません。
次の3つのうち、分かることだけで十分です。

  • いちばんつらいこと:食事、数値、薬、通院、費用、家族とのやり取りなど
  • 続けにくい場面:昼の薬を職場で飲めない、介護で予約日に来られない、など
  • 大切にしたいこと:家族と同じ食卓を囲みたい、外出を楽しみたい、など

例えば「仕事と介護が重なり、夕食を用意するだけで精一杯です。
食事の工夫をまず一つに絞りたい」と伝えるだけでも、相談の出発点になります。
これは相談の例であり、実際の患者さんの体験談ではありません。

薬・測定・通院も、続けやすさを相談できます

糖尿病の負担は、食事だけではありません。
診察では、安全性や治療効果と合わせて、次のような点も確認します。(※1・※3)

  • 薬:飲む回数やタイミング、副作用、低血糖への不安が負担になっていないか
  • 血糖測定:何のために、いつ測る必要があるかを理解できているか
  • 通院・費用:仕事や介護と両立できるか、費用が継続の妨げになっていないか

「相談したら、薬を増やされるだけでは?」と不安な方も、その気持ちをお話しください。薬を減らせるとは限りませんが、必要な理由や選択肢を確認し、生活の中で実行できる方法を一緒に考えます。

薬や注射、必要な血糖測定を自己判断で中断せず、続けにくさを相談してください。
特にインスリンは、自己判断で中断すると危険な場合があります。

食事が取れないときも、薬によって対応が異なるため、主治医への確認が必要です。(※3・※5)

気分の落ち込みや生活への支障が強いときは、早めに相談を

治療への疲れに加えて、「何をしても楽しめない」「眠れない」「仕事や家事が手につかない」といった状態が続く場合は、次の定期受診を待たずにご相談ください。

「糖尿病なのだから仕方ない」と一人で判断する必要はありません。

体の状態や気分を確認し、必要に応じて心療内科・精神科などとも連携します。
糖尿病に伴う負担とうつ病などを見分け、適切な支援につなぐことも大切です。(※1・※2)

当院では、数値と「日々の暮らし」の両方を伺います

あまが台ファミリークリニックでは、検査結果やお薬手帳だけでなく、仕事・家事・介護などの生活背景も伺い、医師と管理栄養士が治療を支えます。

最初からすべてを整える必要はありません。
「今いちばん負担なのは何か」「安全のために続けることは何か」「見直せることは何か」を整理し、次に取り組むことを相談しましょう。

うまくできていない日があるからこそ、診察を頼ってください。

受診のために食事記録を完璧にする必要も、数値を良くしてから来る必要もありません。

「治療に疲れました」。そのひと言から、一緒に考えましょう

食事制限がつらい、検査結果を見るのが怖い、仕事や介護と両立できない。その困りごとを、そのままお聞かせください。お薬手帳と、お持ちであれば最近の検査結果をご持参ください。千葉県長生郡長生村の当院は、千葉市、茂原市から通院可能です。

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参考文献・参考資料

  • ※1 日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン2024』第7章「糖尿病の自己管理教育と治療支援」、特にQ7-5「糖尿病治療上の心理課題は何か?」。
  • ※2 NIDDK. Diabetes Distress and Depression. 2020年1月8日。
  • ※3 日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン2024』第2章「糖尿病治療の目標と指針」。
  • ※4 国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター「糖尿病の食事のはなし(基本編)」。
  • ※5 国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター「シックデイ」。

資料確認日:2026年10月19日。治療内容や目標は、病状と生活状況に合わせて主治医と相談してください。

この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医
  • 日本糖尿病学会正会員、日本睡眠学会所属、日本肥満学会所属

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している

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