夜勤・交代勤務で血糖値が安定しない方へ|糖尿病の食事と薬の相談

院長ブログ

「食事に気をつけているのに、夜勤が続くと血糖値が安定しない」「薬の袋には朝食後とあるけれど、夜勤明けはどうすればいいの?」と悩んでいませんか。

「規則正しく食べましょう」と言われても、仕事の時間は簡単には変えられませんよね。休憩がずれ、食べる時間を自分で決められない日もあると思います。

夜勤・交代勤務がある方は、食事の内容だけでなく、食べる時刻、薬の使い方、睡眠をセットで相談することが大切です。夜勤をしているという理由だけで、努力不足と考える必要はありません。

皆さん、こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田です。医師歴25年の家庭医療専門医で、日本糖尿病学会正会員として、年間延べ約5,000人の糖尿病の患者さんを診察しています。

今回は、夜勤を続けながら治療に取り組むために、食事で工夫できることと、診察で確認したい薬のポイントをお伝えします。

夜勤で血糖値が乱れるのは、食べ過ぎだけが原因ではありません

私たちの体には、昼と夜のリズムを調整する「体内時計」があります。

夜間に起きて食べる生活では、このリズムと食事・睡眠の時間がずれ、糖を処理する働きに影響することがあります。(※1)

健康な成人を対象に夜勤を模した実験では、夜間にも食事を取る群で糖を処理する能力が低下し、食事を日中に限った群ではその変化が抑えられました。(※1)

ただし、これは「糖尿病の方も夜勤中は絶食すべき」と示した研究ではありません。薬を使っている方が自己判断で食事を抜くと、低血糖につながる場合があります。(※2)

「夜に食べないと仕事にならない」という方もいるでしょう。その事情を踏まえ、深夜に食事が集中していないか、薬と食事の間隔が合っているかを確認することから始めます。

夜勤中の食事は「我慢を増やす」より、配分と組み合わせを相談

1.深夜の大盛りに集中させない方法を考えます

出勤前は忙しくて食べられず、深夜の休憩に大盛り弁当とカップ麺をまとめて食べる。このような日があれば、食事を取れる時間を一緒に整理しましょう。

例えば、出勤前に食事を取り、深夜の休憩には量を調整した食事を用意する方法が考えられます。ただし、必要な食事量や配分は、仕事内容・体格・薬によって異なります。

食事量を減らす前に、主治医や管理栄養士へ相談してください。(※2・※3)

2.買うものを決めておくと、休憩が短い日も迷いにくくなります

コンビニなら「おにぎり+ゆで卵や豆腐+野菜のおかず」など、主食だけに偏らない組み合わせを候補にできます。おにぎりを何個にするかなどは、一人ひとりの必要量に合わせます。

「毎回、自炊する余裕はない」という方も大丈夫です。まずは普段買う弁当や飲み物の写真を見せてください。新しい料理を覚えるより、いつもの買い物で変えられる点を探しましょう。

3.眠気覚ましの飲み物も記録しましょう

加糖コーヒーやエナジードリンクを何本も飲む習慣があれば、食事だけでなく飲み物からの糖質も確認します。水や無糖のお茶への置き換えを候補にできますが、低血糖への対処に使うブドウ糖とは分けて考えてください。(※2・※3)

夜勤明けの食事も含めて振り返ると、「勤務中に減らした分、帰宅後にまとめて食べていた」と気づくことがあります。勤務中の一食だけで判断せず、起床から次の睡眠までを見渡すことがポイントです。

「夜勤だから仕方ない」で終わらせず、相談してみませんか

勤務表とお薬手帳があれば、食事を取れる時間や薬の使い方を具体的に相談できます。記録が完璧でなくても構いません。

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「朝食後の薬」をいつ飲む?自己判断で時刻をずらさず確認を

夜勤の日は「朝」が起床後なのか、時計の朝なのか、迷いますよね。薬の袋の表示を一律に「起きた時間」に読み替えることはできません。食事との関係や服用間隔など、薬ごとの条件を確認する必要があります。(※4)

  • インスリン、SU薬、グリニド薬など:食事が遅れたり少なくなったりすると、低血糖に注意が必要です。(※2)
  • 食直前に使う薬:休憩が延期されたときや食事を取れないときの対応を、あらかじめ確認しましょう。(※4)
  • 1日1回の薬:勤務の切り替えで服用が近づき過ぎたり、重複したりしないよう、時刻と飲み忘れ時の対応を確認します。

診察では「夜勤があります」だけでなく、「出勤前・深夜の休憩・夜勤明けのどの食事で、どの薬を使えばよいですか」と聞いてみてください。

「薬を増やされるのが心配」というお気持ちもお伝えください。まずは今の治療を確認し、必要に応じて量・種類・使い方を検討します。仕事中の使いやすさと安全性の両方を考えることが大切です。(※3)

夜勤中の冷や汗・手の震え・強い空腹は、低血糖の可能性も

インスリンなどを使用している方は、こうした症状を「疲れただけ」と決めつけないでください。低血糖では、動悸や集中力の低下が出ることもあります。(※2)

低血糖が疑われたら、作業や運転を中断してください。測定できる方は血糖を確認し、意識がはっきりして飲み込める場合は、主治医からの指示に従って対処します。一般的にはブドウ糖10gを取り、約15分後に症状や血糖を再確認します。改善しない場合は追加の補給などが必要です。(※2)

薬局などで、1包や1粒に含まれる量が分かるブドウ糖を用意しておくと安心です。ボグリボースなどのαグルコシダーゼ阻害薬を使っている方は、砂糖や普通の飴ではなく、ブドウ糖を使います。(※2)

意識がはっきりしない、飲み込めない場合は、無理に飲食物を口に入れず、周囲の方が119番へ連絡してください。(※2)

低血糖を繰り返す場合は、次の定期受診まで我慢せず、主治医へ連絡してください。危険を伴う仕事では、必要に応じて産業医などにも相談し、安全に働くための配慮を考えます。

診察には「夜勤の日と休みの日」のメモを持参してください

毎日の細かな記録は負担になります。まずは夜勤の日と休日を、それぞれ1日分で構いません。スマートフォンのメモや食事の写真でも役立ちます。

  • 勤務時間と、実際に休憩を取れた時間
  • 食べた時刻・内容・おおよその量、飲み物
  • 薬や注射を使った時刻・量
  • 寝た時間と起きた時間、仮眠
  • 測定している場合は血糖値と測定時刻、冷や汗などの症状

例えば「18時に食事、20時に出勤、休憩が2時から4時にずれた」と分かれば、食事と薬のタイミングを具体的に検討できます。お薬手帳と最近の検査結果もご持参ください。

「記録ができてから受診しよう」と先延ばしにする必要はありません。分かる範囲から一緒に整理しましょう。

当院では、医師と管理栄養士が勤務に合わせた方法を考えます

あまが台ファミリークリニックでは、検査結果だけでなく、勤務・食事・服薬・睡眠の状況を伺い、続けやすい治療を相談します。国家資格をもつ管理栄養士5名体制で、コンビニや社員食堂を利用する方の食事相談にも対応しています。

血糖測定の記録がある方は一緒に確認し、必要に応じてCGM(持続血糖モニタリング)などによる評価も検討します。機器の適応や費用は治療内容によって異なるため、診察でご説明します。

仕事を変えることから考えるのではなく、まずは今の働き方で何ができるかを整理しましょう。低血糖や体調によっては、勤務上の配慮が必要になる場合もあります。

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参考文献・参考資料

  • ※1 Chellappa SL, et al. Daytime eating prevents internal circadian misalignment and glucose intolerance in night work. Science Advances. 2021;7:eabg9910. 原著論文
  • ※2 国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター「低血糖」。
  • ※3 日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン2024』第2章「糖尿病治療の目標と指針」。
  • ※4 国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター「血糖値を下げる飲み薬」。

資料確認日:2026年10月17日。薬・食事の調整は、病状や仕事内容に合わせて主治医と相談してください。

次の夜勤を迎える前に、食事と薬の疑問を整理しましょう

「休憩がずれると薬に困る」「夜勤が続くと数値が悪くなる」。その悩みを、そのままお聞かせください。千葉県長生郡長生村のあまが台ファミリークリニックは、千葉市、茂原市から通院可能です。

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この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医
  • 日本糖尿病学会正会員、日本睡眠学会所属、日本肥満学会所属

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している

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