「ほてりや寝汗もあるし、更年期だから仕方がないのかな……」
「これ以上、何を頑張ればいいの?」と感じる方もいると思います。
体調や生活の変化を整理すると、次の診察で相談したいことが見えてきます。
皆さん、こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田です。

医師歴25年の家庭医療専門医で、日本糖尿病学会正会員として、年間延べ約5,000人の糖尿病の患者さんを診察しています。
今回は、主に2型糖尿病の治療中に更年期を迎えた女性に向けて、HbA1cが上がったときの確認ポイントと、診察での伝え方をお話しします。
目次
- 更年期に血糖値が上がることはある?
- 診察で確認したい、4つの変化
- 1.HbA1cは「いつから、どのくらい」上がった?
- 2.体重・食事・動く量はどう変わった?
- 3.寝汗・眠り・気持ちの負担は?
- 4.薬の使い方や、ほかの治療は変わった?
- ほてり・動悸は、更年期とは限りません
- 血糖値とHbA1cが合わないときは、貧血なども確認
- 次の診察で、そのまま使える相談メモ
- 治療は「今の暮らしで続けられる形」に見直しましょう
- 食事は、禁止を増やす前に相談を
- 薬の見直しは、治療に失敗したという意味ではありません
- 更年期のつらさは、婦人科との連携も
- 定期受診を待たずに相談したい症状
- 「更年期だから仕方ない」と、一人で抱えなくて大丈夫です
- 今の悩みに合わせて読める、関連ブログ5選
- 参考文献・参考資料
更年期に血糖値が上がることはある?
閉経に向かう時期には女性ホルモンが変動し、体脂肪のつき方も変化します。
こうした変化は、血糖値を下げるホルモン「インスリン」の効きにくさに関わり、糖尿病の管理が難しくなる方がいます。
ただし、影響には個人差があり、更年期なら必ずHbA1cが上がるわけではありません。(※1・※2)
例えば、体重はあまり変わらなくても、以前よりお腹まわりが気になることがあります。
体重の数字だけでなく、体形や活動量の変化も、診察で伝える手がかりになります。(※2)
「では、更年期が終われば元に戻りますか?」と聞きたくなりますよね。
自然に落ち着くことを期待するお気持ちは分かります。
ただ、血糖値には糖尿病そのものの経過や生活、治療内容も関わります。
更年期が落ち着くのを待つより、今の体に治療が合っているかを確認しましょう。(※1・※3)
診察で確認したい、4つの変化
1.HbA1cは「いつから、どのくらい」上がった?
HbA1cは、過去約2〜3か月の血糖の状態を反映し、特に直近の影響を受けます。
採血当日の食事だけで決まる数値ではありません。
直近数回の検査結果を並べ、変化の時期を確認します。(※4)
例えば「3か月前は6.8%、今回は7.4%。その間に夜中に目が覚める日が増えた」と伝えると、数値と暮らしの変化を一緒に考えやすくなります。
これは相談のための例であり、目標値を示すものではありません。
目標は年齢、合併症、低血糖の起こりやすさなどで異なります。
「私の目標はいくつですか」「次はいつ再検査しますか」と確認してください。(※3)

2.体重・食事・動く量はどう変わった?
食べる量は同じつもりでも、間食の時間や飲み物、外出の頻度が変わっていることがあります。
体重の増減だけでなく、「疲れて夕食が遅くなった」「膝が痛くて歩かなくなった」なども教えてください。
「結局、食事を減らせと言われるのでは」と心配かもしれません。
でも、いきなり主食を抜くなどの変更は勧めません。
食事と薬の組み合わせによっては低血糖につながるため、今の食べ方を確認したうえで調整します。(※3・※5)
3.寝汗・眠り・気持ちの負担は?
「寝汗で何度も起きる」「朝から疲れて動けない」「介護が気になって眠れない」。
こうした困りごとも糖尿病の診察で話して構いません。
睡眠の問題は血糖管理に関わり、食事や運動を続ける負担にもなります。(※1・※6)
いびきや睡眠中の呼吸停止を指摘される場合は、睡眠時無呼吸症候群なども検討します。
眠れない理由をすべて更年期と考えず、症状に応じて確認します。(※6)

4.薬の使い方や、ほかの治療は変わった?
薬を飲みにくい時間帯、副作用、注射の打ち忘れ、ほかの医療機関で追加された薬があれば、お薬手帳と一緒に伝えてください。
責めるためではなく、治療がうまく生活に組み込めているかを確認するためです。
ステロイドなど、血糖値に影響する薬もあります。
また、2型糖尿病では経過とともにインスリンを分泌する力が変わり、治療の調整が必要になることがあります。
薬は自己判断で増減・中止せず、続けにくい理由も含めて相談しましょう。(※3・※7)
「数値だけでなく、最近の不調も相談したい」方へ
当院では、検査結果とともに食事・体重・睡眠・生活背景を伺います。どのような診療を行っているか、まずは糖尿病診療のご案内をご覧ください。

ほてり・動悸は、更年期とは限りません
更年期のほてりや発汗と、低血糖による冷や汗・動悸は、症状が重なることがあります。
特にインスリンやSU薬などを使っている方では注意が必要です。(※1・※5)
「更年期の症状だろう」と判断する前に、低血糖の可能性も考えましょう。
測定できる場合は症状が出たときの血糖を確認し、低血糖なら主治医から指示された方法で対処してください。
測れず低血糖が疑われる場合も、対処を遅らせず、事前の指示に従ってください。(※5)
症状が繰り返す方は、いつ・何をしたときに起きたかを伝えましょう。
必要に応じて、血糖測定の時間や持続血糖モニタリング(CGM)の利用を検討します。
CGMは全員に必要な検査ではなく、適応や費用も確認して決めます。(※1・※8)

血糖値とHbA1cが合わないときは、貧血なども確認
HbA1cは、血液中の赤血球の状態にも影響されます。
鉄欠乏性貧血では、実際の血糖の状態より高めに出ることがあります。
一方、出血などでは別の影響を受けるため、「貧血なら必ず高く出る」とは限りません。(※4)
月経の量が多い、出血が長引く、息切れがある、鉄剤を飲み始めたといった変化も伝えてください。
血糖値やこれまでの検査と照らし合わせ、必要な検査を考えます。
動悸・発汗・疲れやすさには甲状腺の病気などが関わることもあります。
HbA1cだけで説明できない不調も、遠慮なく相談してください。(※2)
次の診察で、そのまま使える相談メモ
全部を記録する必要はありません。
分かるところだけ埋めて、スマホの画面を見せるだけでも大丈夫です。
「更年期のような不調と、HbA1cの上昇が気になっています」
- 検査の変化:前回__% → 今回__%。上がり始めたのは__頃
- 体重・体形:__kgの変化/お腹まわりが気になる、など
- 睡眠・月経:寝汗、中途覚醒、月経の変化や出血など__
- 生活・薬:食事時間、仕事・介護、薬の変更や飲みにくさなど__
- いちばん相談したいこと:__
最近の検査結果、お薬手帳、測定している方は血糖の記録をご持参ください。
最後の一つは「薬が増えるのが不安」「食事をこれ以上減らしたくない」「まず眠れるようになりたい」でも構いません。
優先したいことが分かると、治療の相談を進めやすくなります。
治療は「今の暮らしで続けられる形」に見直しましょう

食事は、禁止を増やす前に相談を
当院は、国家資格をもつ管理栄養士5名体制で食事の相談に対応しています。
「家族と別の料理は作れない」「仕事のあとに自炊する余裕がない」といった事情を伺い、量や組み合わせ、食べる時間を一緒に考えます。
例えば、食事の写真を1枚見ながら「今の夕食に何を足し、何を調整するか」を相談することから始められます。
完璧な記録を用意する必要はありません。

薬の見直しは、治療に失敗したという意味ではありません
薬の変更が必要になる場合もありますが、数値だけで機械的に決めるものではありません。
低血糖や副作用、腎臓の状態、費用、生活への負担も含めて相談します。
「なぜ必要か」「ほかの選択肢はあるか」を確認して構いません。(※3)
更年期のつらさは、婦人科との連携も
ほてりや寝汗が生活に支障をきたす場合は、婦人科での相談も選択肢です。
ホルモン補充療法(HRT)は更年期症状に対する治療で、HbA1cを下げることだけを目的に始めるものではありません。(※2)
糖尿病があるだけで一律に使えないわけではありませんが、血栓症や乳がんなどの病歴も踏まえて判断します。
婦人科で治療を始める際は、糖尿病の主治医にも伝え、血糖への影響を確認しましょう。(※1・※2)
定期受診を待たずに相談したい症状
少しずつHbA1cが上がっている場合は、まず主治医と経過を確認しましょう。
ただし、強いのどの渇き、尿の回数の増加、意図しない体重減少がある場合は、早めに医療機関へ連絡してください。(※9)
嘔吐が続いて水分を取れない、意識がぼんやりする場合は、速やかな受診が必要です。
意識を失うなどの重い低血糖が疑われるときは119番へ連絡し、口から無理に飲食させないでください。(※5・※9)
「更年期だから仕方ない」と、一人で抱えなくて大丈夫です
HbA1cが上がったときは、数値に加えて、体重・眠り・生活・治療経過を一緒に振り返ることが大切です。
頑張りを増やす前に、今の自分に合う治療を相談してみませんか。
「最近、体調が変わってきました」。そのひと言も、糖尿病の診察で大切な情報です。
今の体調に合う糖尿病治療を、一緒に考えましょう
あまが台ファミリークリニックでは、HbA1cの変化と日々の困りごとを伺います。初めて受診される方は、お薬手帳と、お持ちであれば最近の検査結果をご持参ください。千葉県長生郡長生村の当院は、千葉市、茂原市から通院可能です。

今の悩みに合わせて読める、関連ブログ5選
気になるテーマを一つ選んで、ご覧ください。
糖尿病の治療に疲れた方へ|食事制限と数値のストレスを相談するには数値を見るのがつらい方へ。治療の負担を言葉にして相談するヒント。
HbA1cが下がらない5つの原因とは?医師が教える血糖管理を改善するコツ更年期以外の要因も知りたい方へ。生活と治療を振り返るきっかけに。
「食後だけ血糖値が高い」を見逃さない|CGM(リブレ)でわかる血糖値の変動とは?|千葉・茂原エリアからも通院可能HbA1cだけでは見えにくい変動が気になる方へ。CGMの役割を解説。
【睡眠学会所属医が解説】食事も運動も頑張るのに血糖値が下がらない意外な理由|千葉・茂原眠りと血糖の関係を知りたい方へ。いびきや睡眠の相談のきっかけに。
おやつ・糖質ゼロ・調味料…知りたいことから選べる管理栄養士ブログガイドおやつ・食品表示・調味料。今知りたい食事の疑問から記事を選べます。
参考文献・参考資料
- ※1 Diabetes UK. Menopause and diabetes.
- ※2 European Society of Endocrinology clinical practice guideline for evaluation and management of menopause and the perimenopause. European Journal of Endocrinology. 2025;193(4):G49–G81. doi:10.1093/ejendo/lvaf206.
- ※3 日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン2024』第2章「糖尿病治療の目標と指針」。
- ※4 NIDDK. The A1C Test & Diabetes.
- ※5 NIDDK. Low Blood Glucose (Hypoglycemia).
- ※6 American Diabetes Association. Facilitating Positive Health Behaviors and Well-being to Improve Health Outcomes: Standards of Care in Diabetes—2026. 睡眠の評価・支援に関する項目。
- ※7 日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン2024』第5章「血糖降下薬による治療(インスリンを除く)」。
- ※8 日本糖尿病学会「先進医療機器により得られる新たな血糖関連指標に関するコンセンサスステートメント」糖尿病. 2024;67(9):369–386。
- ※9 NIDDK. Symptoms & Causes of Diabetes.
資料確認日:2026年10月20日。治療目標や検査・治療の選択は、病状と生活状況に合わせて主治医と相談してください。

