「糖尿病と言われたけれど、バナナは食べても大丈夫?」
「バナナは甘いから、血糖値が上がりそうで怖い」
「朝食に毎日バナナを食べているけれど、やめた方がいいのかな?」
このようなことで悩んでいませんか?
結論からお伝えすると、糖尿病だからといって、バナナを一律に禁止する必要はありません。
ただし、「果物だから健康によい」と考えて、好きなだけ食べてよいわけでもありません。
重要なのは、食べる量、他の食事との組み合わせ、そして1日全体の食生活です。
皆さん、こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田俊樹です。
私は医師歴25年の家庭医療専門医で、日本糖尿病学会正会員として、年間約5,000人の糖尿病患者さんを診察しています。
糖尿病の診察をしていると、
「バナナは食べてもいいですか?」
「果物はやめた方がいいですか?」
という質問を本当によくいただきます。
この記事では、糖尿病の方がバナナを食べる際の量の目安や、血糖値への影響、食べ方のポイントについて、できるだけわかりやすく解説します。

糖尿病でもバナナは食べていい?
目次
- 糖尿病でもバナナは食べていい?
- 結論|糖尿病でも基本的には食べられます
- 93kcalは「ご飯100gよりかなり少ない」
- 利用可能炭水化物19.4gは、ご飯100gのおよそ半分
- 食物繊維1.1gはメリットですが、「バナナだけで十分」ではありません
- カリウム360mgは、成人の1日の目標量の約1割強
- 糖尿病の人はバナナを1日何本まで食べていい?
- 一つの目安は1日80kcal程度の果物
- 腎機能が低下している方はカリウムにも注意
- バナナは朝・昼・夜、いつ食べるのがいい?
- 朝食なら「バナナだけ」で済ませない
- 間食なら「追加」ではなく「置き換え」を意識する
- 夜遅いバナナが毎日の習慣なら食生活全体を見直す
- 血糖値を上げやすい食べ物はバナナだけではありません
- バナナだけでなく「血糖値を下げる生活全体」を考えてみましょう
- 「バナナを食べていい?」より先にHbA1cを確認した方がよい方
- 当院では「食べてはいけないもの」を増やすだけの指導はしません
- 国家資格をもつ管理栄養士5名が食生活をサポートします
- 糖尿病とバナナについてよくある質問
- まとめ|糖尿病でもバナナは禁止ではありません
- 参考文献
結論|糖尿病でも基本的には食べられます
糖尿病の方でも、基本的にバナナを食べることはできます。
糖尿病になったからといって、
- バナナは禁止
- 果物は全部ダメ
- 甘みのある食品は食べてはいけない
と考える必要はありません。
「でも、バナナってかなり甘いですよね?」
そう思う方も多いと思います。
確かに、バナナには糖質が含まれているため、食べれば血糖値には影響します。
ただ、ここで大切なのは、
「甘いから危険」「糖質があるから食べてはいけない」と単純に考えないことです。
文部科学省の日本食品標準成分表によると、生のバナナ可食部100gには、次のような栄養素が含まれています。(※1)
バナナ100gあたりの主な栄養成分
- エネルギー:93kcal
- 利用可能炭水化物:19.4g
- 食物繊維:1.1g
- カリウム:360mg
「93kcal、19.4g、360mgと言われても、実際どのくらいなの?」
数字だけでは、なかなかイメージしづらいですよね。
93kcalは「ご飯100gよりかなり少ない」
まず、エネルギー93kcalについてです。
炊いた白いご飯100gは約156kcalです。(※2)
つまり、同じ100gで比べると、バナナのエネルギーはご飯の約6割程度です。
「バナナは甘いから、すごく高カロリーなのでは?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、少なくとも100g同士で比較すると、ご飯よりエネルギーは低めです。
ただし、ここで注意していただきたいのは、
「低めだから何本でも食べていい」という意味ではないことです。
バナナを2本、3本と食べれば、その分だけエネルギーも積み重なります。
利用可能炭水化物19.4gは、ご飯100gのおよそ半分
次に、血糖値に関係しやすい利用可能炭水化物です。
バナナ100gでは19.4gですが、炊いた白いご飯100gでは38.1gです。(※1、※2)
つまり、100g同士で比べると、
バナナの利用可能炭水化物は、ご飯のおよそ半分です。
この数字だけを見ると、
「それならバナナは血糖値が上がらないのでは?」
と思うかもしれません。
ただし、そう単純ではありません。
血糖値の上がり方は、
- バナナの量
- 熟し具合
- 一緒に食べる食品
- その方のインスリン分泌能力
- 糖尿病の状態
- 食後の運動
- 使用している薬
などによって変わります。
ですから、
「ご飯より炭水化物が少ない=血糖値を気にせず食べてよい」ではありません。
食物繊維1.1gはメリットですが、「バナナだけで十分」ではありません
バナナには100gあたり1.1gの食物繊維が含まれています。(※1)
食物繊維は、便通を整えたり、食後の血糖上昇をゆるやかにする食事づくりの一部として役立つ栄養素です。
そのため、
「甘いだけの食品ではなく、食物繊維も含まれている」
というのはバナナのメリットの一つです。
ただし、1.1gという量は、
バナナだけで1日に必要な食物繊維を十分に取れるほど多いわけではありません。
野菜、きのこ、海藻、豆類なども組み合わせて、1日の食事全体で食物繊維を取ることが大切です。
カリウム360mgは、成人の1日の目標量の約1割強
そして、意外と特徴的なのがカリウムです。
バナナ100gには、カリウムが360mg含まれています。(※1)
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人のカリウムの目標量は、男性で1日3,000mg以上、女性で1日2,600mg以上とされています。(※3)
つまり、バナナ100gで、
1日の目標量のおよそ1割強のカリウムを取れる
イメージです。
カリウムは、体内のナトリウムとのバランスに関わる大切なミネラルです。
そのため、腎機能が正常な方にとっては、バナナはカリウムを摂取できる食品の一つと考えられます。
一方で、ここには重要な注意点があります。
糖尿病の患者さんの中には、糖尿病性腎症などによって腎機能が低下している方がいます。
腎機能が高度に低下すると、体の外へカリウムを十分に排泄できなくなり、血液中のカリウムが高くなることがあります。
そのため、
主治医からカリウム制限を指示されている方は、「バナナは体によいから」と自己判断で増やさないことが大切です。
この点は、バナナのメリットとデメリットが表裏一体になる部分です。
ここだけ覚えてください
バナナは、糖質を含むため血糖値には影響します。
一方で、食物繊維やカリウムなども含む食品です。
そのため、糖尿病だから「禁止」と考えるのではなく、
食べる量と1日の食事全体の中で考えることが大切です。
糖尿病の人はバナナを1日何本まで食べていい?
一つの目安は1日80kcal程度の果物
「理屈はわかったけれど、結局何本までならいいの?」
ここが一番気になるところだと思います。
糖尿病情報センターでは、果物を1日80kcal程度までとする例が示されています。(※2)
実際の献立例では、朝食にバナナとギリシャヨーグルトを組み合わせた例や、2000kcalの献立で間食としてバナナ1本を取り入れた例も掲載されています。(※2)
そのため、「糖尿病になったらバナナは禁止」という必要はありません。
ただし、大きなバナナと小さなバナナでは量が違います。
さらに、
- 朝にバナナ
- 昼食後にみかん
- 午後にお菓子
- 夕食後にりんご
という食生活なら、果物や間食全体の量が多くなります。
バナナ1本だけを見るのではなく、1日全体を見る。
ここが非常に大切です。

腎機能が低下している方はカリウムにも注意
もう一つ、糖尿病の患者さんに知っておいていただきたいことがあります。
バナナはカリウムを比較的多く含む果物です。
生のバナナ可食部100gには、カリウム360mgが含まれています。(※1)
腎機能が正常な方が一律にバナナを避ける必要はありません。
一方、腎機能が高度に低下している方や、医師からカリウム制限を指示されている方は、自己判断で大量に食べず、主治医や管理栄養士に確認してください。
バナナは朝・昼・夜、いつ食べるのがいい?
朝食なら「バナナだけ」で済ませない
忙しい朝に、
「時間がないからバナナ1本だけ」
という方もいると思います。
バナナを朝に食べること自体が問題なのではありません。
しかし、朝食全体として考えるなら、バナナだけで済ませるよりも、他の食品を組み合わせて栄養バランスを整える方がよいでしょう。
たとえば、
- バナナ+無糖ヨーグルト
- バナナ+卵
- バナナ+無糖の乳製品
などです。
糖尿病情報センターの献立例でも、バナナとギリシャヨーグルトを組み合わせた例が紹介されています。(※2)
間食なら「追加」ではなく「置き換え」を意識する
「お菓子の代わりにバナナを食べるのはどうですか?」
これは非常によい質問です。
菓子パンやお菓子などを食べていた方が、適量の果物に置き換えるという考え方はできます。
ただし、お菓子を食べたうえで、さらにバナナを追加するのであれば、摂取量は増えてしまいます。
間食では、「体によさそうだから追加」ではなく「何かと置き換える」という視点を持つことが重要です。
夜遅いバナナが毎日の習慣なら食生活全体を見直す
夜になると小腹が空き、
「お菓子よりバナナの方が健康的だから」
と食べている方もいます。
その気持ちはよくわかります。
ただし、毎晩寝る前に何かを食べる習慣がある場合は、バナナそのものよりも、夜間の間食習慣全体を確認した方がよい場合があります。

血糖値を上げやすい食べ物はバナナだけではありません
ここまで読んで、
「バナナを控えれば、血糖値はよくなるのかな?」
と思った方もいるかもしれません。
しかし実際の診療では、バナナより先に見直した方がよい食品や飲み物が見つかることも少なくありません。
たとえば、
- 甘い清涼飲料水
- 甘い缶コーヒー
- スポーツドリンク
- 菓子パン
- ご飯や麺類の大盛り
- 麺類とご飯を一緒に食べる食習慣
などです。

「食事に気をつけているのに血糖値が下がらない」
という方は、バナナ一つではなく、普段の食事全体を一度見直してみてください。
次に読んでいただきたい記事
バナナだけでなく「血糖値を下げる生活全体」を考えてみましょう
糖尿病治療で大切なのは、特定の食品一つを禁止することではありません。
食事だけでなく、
- 飲み物
- 間食
- 食事量
- 運動
- 体重
- 睡眠
- 必要に応じた薬物療法
などを一緒に見直す方が、血糖改善につながりやすいことがあります。
「バナナをやめなければ」
と一つの食品だけで悩むより、
自分の場合、どこを変えるのが一番効果的なのか。
そこを考えてみてください。
血糖値を改善するために、次に知っていただきたいこと
「バナナを食べていい?」より先にHbA1cを確認した方がよい方
ここからが、この記事で特にお伝えしたいことです。
もし次の項目に当てはまるのであれば、「バナナを食べていいか」を調べ続けるより、まずご自身の血糖状態を確認する方が重要です。
- 健康診断で血糖値が高いと言われた
- HbA1cが高いと言われた
- 糖尿病の疑いと言われたまま受診していない
- 糖尿病と診断されたが通院していない
- 食事に気をつけているのにHbA1cが下がらない
- 何を食べていいのかわからなくなっている
- ご飯や果物を自己流で極端に減らしている
- 薬を飲んでいるのに血糖値が改善しない
一つでも思い当たるものがあれば、まず現在の血糖値やHbA1cを把握することをおすすめします。
当院では「食べてはいけないもの」を増やすだけの指導はしません
糖尿病の患者さんの中には、
「糖尿病内科を受診したら、好きなものを全部禁止されそう」
と心配される方がいます。
そのように感じるのも無理はありません。
しかし、糖尿病の食事療法で大切なのは、禁止食品を増やすことではなく、続けられる生活を作ることです。
当院では、血糖値やHbA1cだけを見るのではなく、
- 普段どんなものを食べているか
- 仕事中の食事はどうしているか
- 外食やコンビニをどのくらい利用するか
- 間食や飲み物はどうか
- 運動する時間を作れそうか
- 現在どんな薬を使っているか
なども確認します。
そのうえで、「今の生活をすべて変える」のではなく、「どこから変えると一番効果が出そうか」を一緒に考えていきます。

国家資格をもつ管理栄養士5名が食生活をサポートします
「先生に食事に気をつけてと言われても、具体的に何をどう変えればいいのかわからない」
という経験はありませんか?
当院では、国家資格をもつ管理栄養士5名の体制で、糖尿病患者さんの食事についてサポートしています。
食事療法は、教科書どおりの理想的な献立を押しつけても長続きしません。
外食が多い方、コンビニを利用する方、ご家族と同じ食事を食べる方など、一人ひとり生活は違います。
だからこそ、実際の生活の中で継続できる方法を一緒に考えることが大切だと考えています。

健診で血糖値・HbA1cを指摘された方へ
「自分はまだ受診しなくても大丈夫?」
「食事だけで改善できる?」
そんな疑問がある方は、まず当院の糖尿病診療についてご覧ください。
糖尿病とバナナについてよくある質問
まとめ|糖尿病でもバナナは禁止ではありません
最後にポイントをまとめます。
- 糖尿病でもバナナを一律に禁止する必要はありません
- 果物は1日80kcal程度までが一つの目安です
- バナナだけでなく、1日の果物や間食全体を考えることが重要です
- 食後血糖の上がり方には個人差があります
- 腎機能低下でカリウム制限がある方は主治医に確認してください
そして、この記事で一番お伝えしたいのは、
糖尿病治療は「食べてはいけないもの探し」ではない
ということです。
「バナナをやめなければ」
「ご飯を食べてはいけない」
「果物は全部我慢しよう」
と食べられないものを増やしていくより、自分の血糖値やHbA1c、体重、生活習慣を確認し、自分にとって改善効果の大きいところから変えていく方が重要です。
健診で血糖値やHbA1cを指摘された方や、糖尿病の食事について迷っている方は、一人で悩まずご相談ください。
「何を食べればいいのかわからない」から抜け出すために
血糖値やHbA1c、普段の食生活を確認しながら、あなたに合った糖尿病治療を一緒に考えます。
国家資格をもつ管理栄養士5名も食生活をサポートしています。
参考文献
※1 文部科学省 食品成分データベース「果実類/バナナ/生」日本食品標準成分表
※2 糖尿病情報センター「糖尿病の食事のはなし(献立編)」


