なんとなく疲れが取れない。
水をよく飲む。
「年齢のせいかな」「疲れているだけかな」と思って、放置していませんか?

この記事では、見逃しやすい7つのサインを診療目線でわかりやすく解説します。最後に、「自分は病院に行くべきか」を判断できるチェックリストもあります。
皆さん、こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田俊樹です。

私は日本糖尿病学会正会員として、年間約5,000人の糖尿病の患者さんを診察しています。
また、家庭医療専門医として医師歴25年、地域医療の最前線で診療を続けてきました。
ここに院長の笑顔の写真を入れると信頼感が高まります。白衣姿がおすすめです。
今回の記事では、私が実際の診察室で経験してきた事例をもとに、糖尿病で見逃してはいけない危険サイン7つをわかりやすくお伝えします。
「症状があれば必ず糖尿病」ということではありません。大切なのは、「年齢のせい」「疲れのせい」と思いやすい変化の中に、血糖値を確認すべきサインが隠れていることがあると知っていただくことです。
この記事でわかること
- 糖尿病の危険サイン7つ(見逃しやすいものを含む)
- 症状がなくても注意が必要な人の特徴
- 「病院に行くべきか」を判断するチェックリスト
糖尿病の危険サイン7選
危険サイン 1:夜中にトイレで起きる回数が増えた
夜中のトイレが増える原因はさまざまです。
男性では前立腺肥大、女性では過活動膀胱、高齢の方では睡眠の質の低下なども考えられます。
ただ、糖尿病でも夜間頻尿は起こります。
血糖値が高くなると、余分な糖を尿として排出しようとします。
その際、糖が水分を引き連れて出ていくため、尿量が増えます。その結果、夜中に何度もトイレで起きることになります。

泌尿器科だけでなく、内科で血糖値とHbA1cも確認してください。
次にお話しする症状と重なっている場合は、さらに注意が必要です。
危険サイン 2:原因不明の疲れやすさ
疲れやすさは、糖尿病以外にも多くの原因があります。睡眠不足、ストレス、貧血、甲状腺の病気、うつ状態など、さまざまです。
「疲れやすい=糖尿病」とは言えません。
ただ、糖尿病では「血液中に糖があるのに、体の細胞がエネルギーとして使えない」という問題が起きます。

車のタンクにガソリンは入っているのに、エンジンにうまく届かず、スムーズに走れない状態です。体が重い、だるい、集中力が落ちる、朝からしんどい、という症状につながります。
特に次のような方は要注意です。
- 以前より体のだるさが長引く
- 生活を変えていないのに疲れ方が変わった
- 健診で血糖値やHbA1cを指摘されている
疲れやすさを年齢のせいと決めつけないことが大切です。
40代・50代以降で疲れ方が変わった方は、一度検査する価値があります。

危険サイン 3:喉が渇く・水をたくさん飲む
これは糖尿病の代表的な症状として広く知られています。
血糖値が高くなる→尿に糖が出る→水分も一緒に失われる→体が水不足になる→喉が渇く、という流れで起こります。
糖尿病では、喉の渇き・水をたくさん飲む・トイレが近い・夜中にも水が欲しくなる、といった症状がセットで出ることがあります。

高齢の方では脱水が進み、意識障害で救急搬送になることもあります。
水を我慢するのではなく、まず内科で血糖値を確認してください。
健康診断で血糖値が高めと言われた方や、体重減少が気になる方は、早めにご相談ください。
危険サイン 4:食べているのに体重が減る
食事を減らしていない、運動を増やしていない、ダイエットもしていない。
それなのに体重が減っていく場合は、かなり重要な危険サインです。
その後1年で20kg近く減少して受診されました。
詳しく聞くと、ペットボトルのジュースを1日2〜3リットル飲んでいました。

それだけ糖分を摂っているのに体重が減るのは、体が糖をエネルギーとして使えず、筋肉や脂肪を分解していたためと考えられます。

1か月で3kg以上、3か月で5kg以上の体重減少がある方は要注意です。
「痩せてラッキー」と思わないでください。
特に、喉が渇く・トイレが近い・体重が減るの3つがそろっている場合は、特に早めに受診してください。
危険サイン 5:傷が治りにくい・感染を繰り返す
血糖値が高い状態が続くと、免疫の働きが落ちます。
その結果、細菌やウイルスへの抵抗力が下がり、次のようなことが起こりやすくなります。
- 風邪をひきやすい
- 皮膚の傷が治りにくい
- 足の傷がじゅくじゅくする
- 膀胱炎を繰り返す
- 歯ぐきが腫れやすい
- 水虫が悪化しやすい

歯周病と糖尿病の深いつながり

「歯ぐきから血が出る」「口臭が気になる」程度に思っている方も多いですが、歯周病は放置すると歯を失う原因になります。
歯が減ると、硬い食材(野菜・肉・魚・きのこ・海藻類)が食べにくくなります。
代わりに柔らかいご飯・麺類・パン・甘いものが増え、食事バランスが崩れ、血糖値が上がります。
すると免疫がさらに落ちて歯周病が悪化する、という悪循環に入ります。
糖尿病がある方・血糖値が高めの方は、3か月に1回程度、歯科でクリーニングを受けることをおすすめします。
歯を守ることは、血糖値を守ることにもつながります。

危険サイン 6:目がかすむ・見え方が変わる
糖尿病網膜症は、糖尿病の三大合併症の一つです。
ただし、これは「糖尿病になったらすぐ出る初期症状」ではありません。血糖値が高い状態が長く続いた結果として出てくる合併症です。
一方で、血糖値が大きく変動すると、一時的に見え方が変わることがあります。

「ピントが合いにくい」「急に老眼が進んだ感じ」「目がかすむ」といった症状が出た場合、目だけの問題とは限りません。
糖尿病と言われたら、症状がなくても定期的に眼科を受診してください。
「見えているから大丈夫」は危険な油断です。
糖尿病網膜症は自覚症状が出る前に見つけることが重要です。
危険サイン 7:足のしびれ・感覚の鈍さ
足のしびれは糖尿病の症状として有名ですが、ここは丁寧にお伝えしたいと思います。

糖尿病性神経障害は、血糖値が高い状態が数年単位で続く中で、少しずつ神経に影響が出てくるものです。
診断直後から必ずしびれるわけではありません。
糖尿病性神経障害の特徴的な症状
- 足先がジンジンする
- 足の裏に紙が一枚貼りついた感覚
- 足先の感覚が鈍い
- 左右対称にしびれる
- 夜になると足が気になる
- 足の傷に気づきにくい
「足がしびれていないから糖尿病は大丈夫」という考え方は危険です。しびれが出ている場合は、糖尿病がある程度進んでいる可能性もあります。足に症状が出る前に、健診で血糖値・HbA1cを確認することが大切です。
なお、足のしびれは首・腰の神経の問題、脊柱管狭窄症、脳の病気、ビタミン不足、アルコールの影響など、糖尿病以外の原因でも起こります。
自己判断せず医療機関で相談してください。
危険サイン7つ まとめ
- 夜中にトイレで起きる回数が増えた
- 原因不明の疲れやすさが続いている
- 喉が渇く・水をたくさん飲む
- 食べているのに体重が減る
- 傷が治りにくい・感染(歯周病含む)を繰り返す
- 目がかすむ・見え方が変わる
- 足のしびれ・感覚の鈍さ
症状がなくても注意が必要な方
糖尿病は症状がないまま進む病気です。次の項目に当てはまる方は、症状がなくても定期的な血糖値・HbA1cの確認をおすすめします。
家族に糖尿病の方がいる
糖尿病は生活習慣だけで決まる病気ではなく、遺伝的な体質が大きく関係します。特に両親や兄弟姉妹に糖尿病の方がいる場合は要注意です。
「太っていないから大丈夫」と思っている方も注意が必要です。日本人は欧米人に比べてインスリンを出す力が弱い体質と言われており、痩せていても糖尿病になることがあります。
甘い飲み物をよく飲む
ジュース、甘い缶コーヒー、スポーツドリンク、エナジードリンク、甘い紅茶、カフェラテ…。飲み物の糖分は食べ物より一気に体に入り、しかも満腹感があまりありません。
知らないうちに大量の糖分を摂っていることがあります。

運動習慣がない
筋肉は血液中の糖を使ってくれる大切な場所です。運動不足だと糖を使う機会が減り、血糖値が上がりやすくなります。
いきなり激しい運動は必要ありません。食後に10分歩く、エレベーターを階段に変えるだけでも効果があります。

ストレスが多い・睡眠が乱れている
ストレスでアドレナリンやコルチゾールが増えると、血糖値が上がりやすくなります。また、ストレス下では甘いものや夜食、飲酒が増えがちです。血糖値は食事だけで決まるわけではありません。
健康診断を受けていない・結果を放置している
「健診で血糖値が高いと言われたけど、症状がないのでそのままにしていました」という方が、かなり血糖値が高くなってから受診されることがよくあります。
健診で指摘されたら、できるだけ早めに受診してください。痛みがないから大丈夫、ではありません。
受診判断チェックリスト
次の項目に、いくつ当てはまりますか?
- 夜中にトイレで2回以上起きるようになった
- 喉が渇いて水をたくさん飲む
- 原因不明の疲れやすさが続いている
- 食べているのに体重が減っている
- 傷が治りにくい
- 歯周病が悪化している
- 目がかすむ・見え方が変わった
- 足のしびれ・感覚の鈍さがある
- 健診で血糖値やHbA1cを指摘された
- 家族に糖尿病の方がいる
- 甘い飲み物を毎日飲んでいる
- 1年以上健康診断を受けていない
判断の目安
- 3つ以上当てはまる方:一度、血糖値とHbA1cを確認してください
- 「喉が渇く・トイレが近い・体重が減る」の3つがそろう方:早めに受診してください
糖尿病は「早く気づけば」選択肢が増える病気です
病院に行くのが面倒、糖尿病と言われるのが怖い、薬が始まるのが嫌だ。
その気持ちはよくわかります。
ただ、糖尿病は早く見つけることで選択肢が増えます。
早い段階であれば、食事や運動の工夫で改善を目指せることもあります。
放置してしまうと、目・腎臓・神経・心臓・脳の血管への影響が出てきます。

「糖尿病と言われたら終わり」ではなく、「早く気づけば、未来を守る手が打てる」。
これが大切なメッセージです。
健診結果が手元にある方は、血糖値・HbA1c・尿糖の欄を確認してみてください。
気になる数字がある方は、ぜひ健診結果を持って内科や糖尿病内科で相談していただければと思います。

当院では、糖尿病診療に加えて、国家資格を持つ管理栄養士5名による食事相談、生活習慣の見直し、必要に応じた検査まで含めてサポートしています。
「甘いものは全部やめないといけないのか」「何を食べていいかわからない」という方も、まずはお気軽にご相談ください。

「健診で血糖値を指摘されたままにしている」
YouTube動画も配信中
YouTubeでは、よりわかりやすく説明しています。理解を深めたい方は、ぜひご覧ください。
血糖値が高めと言われた方は、体重だけでなく、食事内容、HbA1c、食後血糖、脂肪肝、睡眠の質も一緒に確認しておくことが大切です。
気になるテーマから、ぜひ続けて読んでみてください。
「やってるかも」な朝の習慣
朝食抜き、甘いカフェラテ、寝不足…。よかれと思っていた朝の習慣が、その日1日の血糖値を上げているかもしれません。
HbA1c?尿糖?どれを見ればいいの?
健診に並ぶ血糖値・HbA1c・尿糖。どの数字を見れば「糖尿病かどうか」がわかるのか、医師がやさしく整理します。
その「いびき」、放っておいて大丈夫?
脂肪肝・血糖値・いびきは、別々の問題に見えて実はつながっていることがあります。家族からいびきを指摘された方へ。
何度やってもリバウンドする方へ
「自己流ダイエットが続かない」「空腹がつらい」方へ。医師と管理栄養士が伴走する、医学的根拠に基づく肥満治療です。
参考文献
- 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」
- 日本糖尿病学会「糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告」
- Tesfaye S, et al. “Diabetic neuropathies: update on definitions, diagnostic criteria, estimation of severity, and treatments.” Diabetes Care. 2010;33(10):2285-2293.
- Taylor GW, Borgnakke WS. “Periodontal disease: associations with diabetes, glycemic control and complications.” Oral Dis. 2008;14(3):191-203.
- 厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査」

