糖尿病の運動は何から始める?食後の歩行と家でできる簡単な運動3つ

糖尿病の運動の始め方を紹介する、室内を歩く男女のイラスト 院長ブログ

「血糖値を下げるために運動したい。でも、何から始めればいいのか分からない」
「仕事や家事で忙しいし、長く歩くと膝も心配」
「頑張って歩いているのに、体重が減らなくてがっかりする」

このようなことで悩んでいませんか?

最初から毎日1万歩や、きつい筋トレを目指す必要はありません。まずは食後の短い歩行、座りっぱなしの中断、椅子を使った立ち座りの中から、今の生活に合うものを一つ選んでみましょう。

皆さん、こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田です。医師歴25年の家庭医療専門医で、日本糖尿病学会正会員として、年間延べ約5,000人の糖尿病の患者さんを診察しています。

診察中のあまが台ファミリークリニック院長・細田俊樹

今回は、主に2型糖尿病の方と血糖値が気になる方へ、家でも取り入れやすい運動の始め方をお伝えします。運動は食事や必要なお薬と組み合わせて行う治療です。「この運動だけで糖尿病が治る」「必ず痩せる」というものではありません。※1

この記事で分かること

  • 体重が減らなくても、運動を続ける意味
  • 食後の歩行・座りすぎ対策・立ち座りの始め方
  • 運動を控えるときと、診察で相談したいこと

始める前に|薬・足の状態・体調を確認しましょう

「簡単な運動なら、誰でもすぐ始めて大丈夫?」と気になりますよね。安全に続けるため、糖尿病で治療中の方は主治医と運動内容を確認しましょう。特に次に当てはまる方は、始める前の相談が大切です。※4

  • インスリンや低血糖を起こしやすい飲み薬を使っている
  • 足に傷がある、強いしびれがある、歩くと足が痛む
  • 目・腎臓・心臓などの合併症で運動の制限を受けている
  • 膝や腰の痛み、ふらつきがある

運動中に冷や汗・手の震え・急な動悸が出たら中止してください。低血糖が疑われ、意識がはっきりして飲み込める場合は、ブドウ糖10gをとり、約15分後に症状や血糖を確認します。改善しなければ繰り返し、医療機関へ相談してください。意識がはっきりしない、飲み込めないときは口から飲食させず、119番を。個別の対処指示がある方は、それに従ってください。※5

胸の痛み、強い息切れ、めまいが出た場合も中止し、症状が強い場合は救急対応が必要です。血糖値が非常に高く、吐き気や強いだるさがあるときも、運動で下げようとせず受診してください。※4

体重が減らなくても、運動には意味があります

体重計だけで判断せず、体を動かす意味を伝えるイラスト

筋肉は、血液中の糖を取り込み、エネルギーとして使う場所です。例えるなら、糖を使って働く「工場」のようなもの。体を動かすと、その工場の仕事が増えるイメージです。

筋肉を動かすこと自体が糖の取り込みを助け、継続的な運動はインスリンの働きを改善することも期待できます。日本糖尿病学会のガイドラインでも、運動療法による血糖改善は、体重減少を伴わない場合にも認められています。※1・※4

「でも、体重が減らないと、やっている意味がない気がします」。努力を数字で確かめたいお気持ちは、よく分かります。

だからこそ、体重計だけで運動の成果を決めないでください。診察では、血糖値やHbA1cの経過、動きやすさ、続けられていることも一緒に振り返りましょう。必要なお薬を自己判断で減らす・やめることは避けてください。

簡単な運動① 食後に5〜10分、軽く歩くところから

食事の後に安全な室内を自然な歩幅で歩く男性

一つ目は、食後に短く歩くことです。2型糖尿病の方を対象にした研究では、1日30分の歩行を勧める場合と比べ、毎食後10分ずつの歩行を勧めるほうが、食後の血糖上昇を抑えられました。短期間・少人数の研究ですが、歩くタイミングを工夫するヒントになります。※2

まずは、動きやすい食後を一回選びましょう

  • 夕食の片づけが終わったら、近所や家の中を5〜10分歩く
  • まずは会話ができる程度の楽な速さで、自然な歩幅にする
  • 室内では床の物を片づけ、屋外では足に合う靴を履く
  • 体調を見ながら、少しずつ時間や頻度を増やす

この5〜10分は、習慣がない方の始め方の目安です。5分で研究と同じ効果が得られると保証するものではありません。

「毎食後はとても無理です」。仕事中の昼休みなど、時間を選べないこともありますよね。最初は一番取り入れやすい一食後からで構いません。

食後にお腹が苦しいときは無理にすぐ歩かず、落ち着いてから。薬や血糖の変化によって適した時間帯は異なるため、低血糖が心配な方は主治医と決めましょう。朝の散歩を続けている方も、その習慣をやめる必要はありません。※4

簡単な運動② 座りっぱなしを途中で中断する

デスクワークを中断して部屋を歩く女性

朝に散歩をしていても、その後はテレビやパソコンの前で何時間も座ったまま。そんな日はありませんか?

まとまった運動時間に加えて、座っている途中にも動く機会をつくりましょう。2型糖尿病の方の短時間の実験では、30分ごとに3分間の軽い歩行や簡単な筋肉運動を行うと、座り続けた場合より食後の血糖上昇が抑えられました。※3

例えば、30分ほど座ったらタイマーをきっかけに席を離れ、部屋や廊下を2〜3分歩く。テレビなら一度止めて、少し足を動かして戻る。立つだけで終わらず、無理のない動きを挟む方法です。

「仕事中に30分ごとは難しい」という方も多いと思います。毎回守れないからと諦めず、まずは休憩時間や自宅でできる場面を探しましょう。ただし、動く回数や時間を減らしても研究と同じ効果になる、という意味ではありません。

簡単な運動③ 椅子を使った立ち座り

壁につけた安定した椅子に座り、足裏を床につけて立ち上がる準備をする女性

歩くことに加えて、筋力を保つ運動も大切です。ガイドラインでは、有酸素運動と筋力トレーニングの両方が勧められています。立ち座りは、太ももやお尻を使う、取り入れやすい動きの一つです。※1

安全に立ち座りする手順

  • 椅子を準備:キャスターのない安定した椅子を壁につけます。低すぎず、立ち上がりやすい高さを選びます。
  • 足を置く:腰幅〜肩幅に開き、足裏を床につけます。
  • 立つ:軽くおじぎするように上体を前に傾け、息を吐きながら立ちます。
  • 座る:ドスンと落ちず、ゆっくり腰を下ろします。膝はつま先と同じ方向へ向けます。
  • 少ない回数から:最初は3〜5回を目安に、つらければ途中で休みます。

背中を無理に反らす必要はありません。手を使わずに立つことより、転ばず、痛みなく動けることを優先しましょう。安定した肘掛けに手を添えて構いません。

膝や腰が痛い方は、我慢して続けないでください

「これでも難しいです」という方も大丈夫です。痛みがあるのに回数をこなす必要はありません。安定した椅子に座り、左右の足を交互に少し持ち上げるなど、負担の少ない動きが選択肢になることもあります。痛みが続く方は、合う運動を相談してください。※4

座ったままの動きと立ち座りでは、負荷も効果も同じではありません。できる動きから始め、必要に応じて医師や理学療法士と調整しましょう。

立ち座りに余裕が出たら、別の日に5回から8回、10回へと少しずつ増やします。筋力トレーニングは一般に週2〜3日、連続しない日程が目安です。この一種目だけで全身の運動が十分になるわけではありません。※1

よくある疑問|痩せない・続かない・血糖値が下がらない

この運動をすれば痩せますか?

体重を減らしたいから運動を始めたい、というお気持ちもよく分かります。ただし、体重の変化は食事量や活動量などの全体で決まり、この運動だけで何kg減るとは言えません。痩せ型の方には、そもそも追加の減量が適さない場合もあります。食事と運動を一緒に見直すことが大切です。※1・※4

数分の運動だけで、必要な運動量になりますか?

今回のメニューは「始めるための入口」です。一般的な目標の一つは、中等度以上の有酸素運動を週150分以上行うことですが、体調や合併症に合わせた調整が必要です。最初からその量を一気に目指さず、無理のない範囲から積み重ねましょう。※1

歩いているのに血糖値が下がらないのは、努力不足ですか?

そう決めつける必要はありません。血糖値には、食事や運動だけでなく、インスリンを出す力、お薬、体調などが関係します。運動を増やすだけでは解決しない場合もあります。※4

「夕食後に10分歩いている」「膝が痛くて長く歩けない」と、実際の状況を診察で教えてください。頑張りを増やす前に、治療全体を見直す相談をしましょう。

最初の1週間は、できそうなことを一つだけ

三つすべてを始めなくて大丈夫です。例えば、次の中から選んでみてください。

  • 夕食の片づけが終わったら、5分歩く
  • テレビを30分ほど見たら、2〜3分歩く
  • 週に二日、間隔を空けて椅子の立ち座りを3〜5回試す

毎日の行動とつなげ、できた日はカレンダーに丸をつける。できない日があっても、次の日から戻れば大丈夫です。取り返そうと急に倍の運動をする必要はありません。

血糖を測っている方は、運動した時間や内容も記録すると、診察で役立ちます。一回の数値だけで効果を判断せず、食事や測定時間も含めて振り返りましょう。

食事・運動・薬を、あなたの生活に合わせて考えます

あまが台ファミリークリニックでは、医師と国家資格をもつ管理栄養士5名の体制で、糖尿病の治療を支えています。

あまが台ファミリークリニックのスタッフ集合写真

例えば、「歩く日はお腹が空いて間食が増える」「仕事の時間が不規則で、食事も運動も整えにくい」といった悩みも相談してください。運動だけを切り離さず、普段の食べ方や治療との組み合わせを一緒に考えます。

受診の際は、お薬手帳、健診や血液検査の結果、運動や食事の簡単なメモがあればお持ちください。全部そろっていなくても、まずは今困っていることをお聞かせください。

当院は千葉県長生郡長生村にあり、千葉市、茂原市から通院可能です。

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参考文献

  • ※1 日本糖尿病学会.糖尿病診療ガイドライン2024.第4章「運動療法」.
  • ※2 Reynolds AN, et al. Advice to walk after meals is more effective for lowering postprandial glycaemia in type 2 diabetes mellitus than advice that does not specify timing: a randomised crossover study. Diabetologia. 2016;59:2572–2578. DOI: 10.1007/s00125-016-4085-2. 2型糖尿病41人、各介入2週間の比較。食後の血糖変動を評価した研究で、長期の合併症予防を直接示したものではありません。
  • ※3 Dempsey PC, et al. Benefits for Type 2 Diabetes of Interrupting Prolonged Sitting With Brief Bouts of Light Walking or Simple Resistance Activities. Diabetes Care. 2016;39:964–972. DOI: 10.2337/dc15-2336. 24人の短時間の実験。この記事の椅子の立ち座り単独を検証した研究ではありません。
  • ※4 Colberg SR, et al. Physical Activity/Exercise and Diabetes: A Position Statement of the American Diabetes Association. Diabetes Care. 2016;39:2065–2079. DOI: 10.2337/dc16-1728. / 国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター「糖尿病の運動のはなし」.
  • ※5 国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター「低血糖」.

本記事は一般的な情報提供を目的としています。運動の適否・強度・時間帯・血糖目標は個人で異なります。治療中の方は主治医の指示に従ってください。

この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医
  • 日本糖尿病学会正会員、日本睡眠学会所属、日本肥満学会所属

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している

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14:15-15:15
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注
休 休
14:30-18:00
(最終受付17:30:予約済みの方)
○ ○ 休 ○ ○ 休 休
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(受付8:45~12:45)
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