「忙しくて野菜を用意できない日は、野菜ジュースでもいいですか?」
「『1日分の野菜』と書いてあるなら、野菜を食べなくても大丈夫?」
「糖尿病なので、野菜ジュースの糖質が少し心配です」
栄養指導をしていると、このようなご相談をいただくことがあります。

こんにちは。
あまが台ファミリークリニック管理栄養士の小倉です。
医療監修:あまが台ファミリークリニック院長 細田俊樹

医師歴25年・家庭医療専門医・日本糖尿病学会正会員。
年間延べ約5,000人の糖尿病診療に携わっています。
当院では、国家資格を持つ管理栄養士5名と連携して、患者さんの生活に合わせた食事の工夫を一緒に考えています。
先に結論
野菜ジュースは、野菜不足を補う「補助」としては便利ですが、野菜そのものの完全な代わりにはなりません。
糖尿病の方も一律に避ける必要はありません。
大切なのは、商品名のイメージではなく、1本・1杯当たりの炭水化物または糖質、食物繊維、食塩相当量、原材料を確認し、食事全体の中で使うことです。
野菜ジュースは、野菜の代わりになる?
目次
厚生労働省の「健康日本21(第三次)」では、成人の野菜摂取量の目標を1日350gとしています。
野菜は、ビタミン、ミネラル、食物繊維などをとる大切な食品です。※1
一方、野菜ジュースは、野菜を搾ったり濃縮したりして作られるため、商品によって栄養成分が大きく異なります。
加工によって減りやすい食物繊維などがある一方、ジュースでも摂取できる栄養素があります。
また、野菜そのものには「噛む」という要素があります。
噛んで食べる料理と、短時間で飲めるジュースでは、食事としての満足感や食べ方も同じではありません。

「でも、“1日分の野菜”“野菜350g分使用”と書いてありますよね?」
そう思いますよね。
パッケージを見ると、「これ1本で十分なのでは?」と感じるのは自然です。
ただし、「原料として350g分の野菜を使っている」ことと、「野菜350gをそのまま食べた場合と同じ」という意味は別です。
メーカー自身も、野菜飲料は原料野菜の全成分を含むものではなく、生野菜や温野菜もバランスよく食べることを勧めています。※4・5
野菜ジュースは“野菜を食べなくてよくなる飲み物”ではなく、“野菜が足りない日に補う選択肢”と考えると分かりやすいです。
糖尿病なら、野菜ジュースは飲まない方がいい?
糖尿病の方からは、「ジュースは血糖値が上がりそうなので、全部やめた方がいいですか?」と聞かれることもあります。
糖質を気にして慎重になる気持ちはよく分かります。
ただ、糖尿病だから野菜ジュースを一律に禁止する必要はありません。
糖尿病の食事療法は、体格、活動量、血糖値、合併症、治療薬などを踏まえて一人ひとり調整することが大切です。
日本糖尿病学会も、血糖管理のために食事療法を推奨しています。※3
ポイントは、「砂糖不使用=糖質ゼロ」ではないことです。
砂糖を加えていなくても、野菜や果物そのものに由来する糖質は含まれます。
そのため、血糖値が気になる方は「野菜ジュースだから安心」「砂糖不使用だから何本飲んでも大丈夫」と考えず、実際の栄養成分表示を確認しましょう。
店頭では、この4つを見れば迷いにくくなります

1.まず「1本当たり」「100mL当たり」のどちらかを見る
栄養成分表示は、商品によって「1本当たり」「1杯当たり」「100mL当たり」など基準が違います。比較するときは、同じ量にそろえて見ることが大切です。消費者庁も、栄養成分表示の単位を確認するよう案内しています。※2
2.炭水化物、または糖質を見る
血糖値が気になる方は、1本・1杯でどのくらいの炭水化物または糖質をとることになるか確認しましょう。なお、糖質はすべての食品で表示が義務付けられているわけではなく、炭水化物として表示されている商品もあります。※2
3.食物繊維を見る
食物繊維は表示が推奨されている栄養成分ですが、すべての商品に必ず表示されるわけではありません。表示がある場合は、商品を比較するときの参考になります。※2
4.食塩相当量と原材料を見る
高血圧などで塩分を控えたい方は、食塩相当量も確認しましょう。また、「野菜汁100%」なのか、果汁を含むのか、砂糖などが加えられているのかも原材料欄で確認できます。
迷ったときは、「健康そうな商品名」だけで決めず、裏面の栄養成分表示を比べる。これだけでも選び方はかなり変わります。
「私の場合、どれを選べばいい?」と迷っていませんか?
血糖値だけでなく、体重、血圧、腎機能、薬の種類によって食事の考え方は変わります。当院では、医師と管理栄養士5名が生活に合わせた方法を一緒に考えます。

野菜ジュースを使いやすいのは、こんな場面です
- 朝、野菜を用意する時間がどうしてもない日
- コンビニや外食で野菜料理が少ない日
- 食欲や生活リズムの関係で、副菜を十分に準備できない日
こうした日は、野菜ジュースを「足りない部分を補うもの」として利用するのは一つの方法です。
ただし、野菜ジュースを飲んだからといって、毎日の野菜摂取が十分になるとは限りません。
次の食事では、サラダ、おひたし、温野菜、具だくさんの汁物など、野菜そのものを追加できないか考えてみましょう。
トマトジュースなら安心?
砂糖・食塩無添加のトマトジュースは、選択肢の一つです。
ただし、「食塩無添加」でも糖質がゼロになるわけではありません。
実際の商品では、トマト由来の糖質が含まれています。
商品ごとに栄養成分が違うため、パッケージを確認してください。※6
また、トマトジュースや野菜ジュースにはカリウムを比較的多く含む商品があります。
腎機能が低下していてカリウム制限を指示されている方は、自己判断で習慣化せず、主治医や管理栄養士に相談してください。

「毎日1本飲めばいいですか?」
ここもよく迷うところです。
商品によって1本の容量も糖質量も違うため、「全員が毎日○mL飲めばよい」と一律には決められません。
まずは、パッケージに記載された1回分・1本分の栄養成分を確認しましょう。
野菜不足が気になるからといって、何本も重ねて飲む必要はありません。
野菜ジュースを使う日は、飲み物だけで完結させず、その日のどこかで野菜料理を1皿足すことを意識すると、食生活全体を整えやすくなります。
明日からできる野菜不足対策
全部を一度に変える必要はありません。まずは、次の中から1つ選んでみてください。
- 朝食にミニトマトやカット野菜を1品足す
- 昼食にサラダやおひたしを1品追加する
- 夕食の汁物を、野菜・きのこ・海藻入りにする
- 野菜を準備できない日は、栄養成分表示を確認した野菜ジュースを補助として使う
- 次に野菜ジュースを買うときは、2商品を手に取り「炭水化物(糖質)・食物繊維・食塩相当量」を比べる

今日からの一歩は、「完璧に350gを目指す」ではなく、「今より野菜料理を1皿増やせないか」と考えることです。
まとめ|野菜ジュースは「代わり」ではなく「補助」として
- 野菜ジュースは、野菜不足を補う選択肢の一つ
- 「野菜350g分使用」でも、野菜350gをそのまま食べた場合と同じではない
- 糖尿病でも一律に禁止する必要はない
- 砂糖不使用でも、野菜・果物由来の糖質は含まれる
- 栄養成分表示は、同じ量にそろえて比較する
- 野菜ジュースだけに頼らず、野菜料理もできる範囲で増やす
「野菜ジュースを飲むか、野菜を食べるか」の二択にする必要はありません。
仕事が忙しい日、外食が続く日、料理をする余裕がない日もあります。
そんなときは、野菜ジュースも上手に利用しながら、できる範囲で食事全体を整えていきましょう。
そして、「自分の場合は何をどのくらい食べればいいのか分からない」
「HbA1cが下がらず、食事をどこから変えればいいか迷っている」という方は、
診察の際に遠慮なくご相談ください。
検査や薬だけでなく、「毎日の食事」も一緒に考えます
あまが台ファミリークリニックでは、医師と国家資格を持つ管理栄養士5名が連携し、患者さんの仕事・家族構成・好み・生活リズムに合わせた、続けやすい食事の方法を一緒に考えています。
お電話でのお問い合わせ:050-3108-1705

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参考文献・参考資料
- 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「野菜1日350gで健康増進」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-03-015.html - 消費者庁「栄養成分表示について」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/nutrient_declearation - 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024 第3章 食事療法」
https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/03_1.pdf - カゴメ「野菜350g分を使用した野菜飲料を飲めば、野菜は摂らなくてもよいですか?」
https://www.kagome.co.jp/customer/qa_vege-fruit/_11477/ - 伊藤園「『1日分の野菜』を飲めば、野菜を摂らなくてもよいですか?」
https://www.itoen.jp/customer/faq/47948/ - カゴメ「トマトジュースセレクション」商品情報
https://shop.kagome.co.jp/lineup/tomatojs/
本記事は一般的な情報提供を目的としています。糖尿病治療中の方、腎機能が低下している方、食事について個別の指示を受けている方は、主治医・管理栄養士からの指示を優先してください。







