ボグリボース(ベイスン)の効果・副作用|食直前に飲む理由と飲み忘れ時の対応

「血糖値を下げるために飲み始めたのに、お腹が張ってつらい」
「最近、おならが増えた。薬のせいだろうか?」
と悩んでいませんか。ボグリボース(商品名:ベイスン)を飲んでいる患者さんから、診察室で特によくいただくご相談です。人前で気になったり、仕事に集中できなくなったりすると、飲み続けるのが負担になりますよね。

まずお伝えしたいのは、つらい症状を我慢してまで、同じ薬を飲み続ける必要はないということです。

症状と血糖値を確認し、薬の量や種類を見直すことができます。

皆さん、こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田です。医師歴25年の家庭医療専門医で、日本糖尿病学会正会員として、年間延べ約5,000人の糖尿病の患者さんを診察しています。

今回は、ボグリボースの効果と飲み方に加え、お腹の張りへの対処、早めに相談したい症状、低血糖時の注意点をお伝えします。

 

最初に押さえたい3つのポイント

  • 食後の血糖上昇を穏やかにする薬で、基本は毎食直前に飲みます。
  • お腹の張りやおならがつらいときは、次の定期受診まで我慢せず相談してください。
  • 服用中に低血糖が起きたら、砂糖ではなくブドウ糖で対処します。

効果・用法・低血糖への対応は、添付文書と患者向医薬品ガイドに基づきます。(※1・2)

ボグリボース(ベイスン)はどんな薬?

食後の血糖上昇を穏やかにする「α-グルコシダーゼ阻害薬」

ボグリボースは、小腸で糖質を分解する酵素の働きを抑え、糖の吸収をゆっくりにする薬です。「α-グルコシダーゼ阻害薬」という種類に分類されます。(※1)

例えば、ご飯やパンなどを食べた後に、糖が一度に吸収される勢いを和らげるイメージです。食事療法や運動療法だけでは十分に改善しない食後高血糖などに使われます。(※1)

「飲めば、甘いものを多く食べても大丈夫?」と思う方もいるかもしれません。しかし、食べた糖質を帳消しにする薬ではありません。食事の工夫と組み合わせて使うことが基本です。(※1)

当院では、国家資格を持つ管理栄養士5名が、食事の量や組み合わせを一緒に考えています。「好きなものを全部やめるのは難しい」という気持ちも含めて、ご相談ください。

お腹が張る・おならが増えるのはなぜ?

ボグリボースで糖質の消化・吸収が遅れると、一部が大腸に届き、腸内細菌によって発酵してガスが生じます。これがお腹の張りやおならが増える理由です。下痢や軟便が出ることもあります。(※1・3)

「私の腸がおかしくなったのでは」と心配になりますよね。お腹の張りやおならは、この薬の作用に関連して起こる症状です。ただし、「よくある副作用だから我慢してください」で済ませてよいとは考えていません。

軽い張りなら、症状と生活への影響を確認しましょう

「そのうち慣れるはず」と無理をせず、生活への影響を確認しましょう。相談するときは、次のことを伝えていただくと判断しやすくなります。

  • 飲み始めた日、または薬の量が変わった日
  • 張りが出る時間帯と、仕事・睡眠・食事への影響
  • 便秘や下痢、腹痛、吐き気があるか

お腹が張るからと食事を極端に減らす前に、薬の見直しも含めて相談しましょう。食事量が減ると、併用している薬によっては低血糖につながることがあります。(※4)

つらければ、一時中止や別の薬への変更を相談できます

「おならが気になって外出しづらい」「張りが強くて食事が苦痛」。そのような場合は、無理に続けず、処方元に早めにご連絡ください。

私の診療では、症状が強ければ一旦ボグリボースをお休みすることも含めて判断し、血糖値やほかの薬との組み合わせを確認します。糖尿病の薬には複数の選択肢があるため、体に合った別の薬をご提案することもできます。(※5)

大切なのは、薬をやめたまま放置せず、次の治療につなげることです。ボグリボース以外の薬やインスリンまで、まとめて自己判断で中止しないでください。

「先生に処方してもらったから、合わないとは言いにくい」と遠慮する必要はありません。続けやすさも、治療を選ぶうえで大切にしています。

薬の飲みづらさも、診療で相談してよいことです

お腹の張りや飲み忘れなど、気になっていることをお聞かせください。血糖値と日々の負担の両方を考えて治療を見直します。

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いつもの張りと違う場合は、早めに受診を

お腹の張りのすべてが危険なわけではありません。ただし、強い、または続く腹痛、嘔吐、便やおならが出にくい状態を伴う張りがある場合は、腸閉塞などの確認が必要です。ボグリボースの服用を中止し、速やかに医療機関へ連絡・受診してください。症状が強い場合は救急受診が必要です。(※1・2)

腹部の手術歴や腸閉塞の既往がある方は、あらかじめ医師に伝えておきましょう。(※2)

肝臓の副作用についても、知っておきたいサインがあります

重い肝機能障害や黄疸も報告されていますが、発生頻度は不明です。副作用の名前だけで過度に心配するより、白目や皮膚が黄色い、尿が濃い茶色になった、強いだるさや食欲不振が続くといった変化があれば、服用を続ける前に速やかに医師へ相談する、と覚えておいてください。(※1・2)

なぜ「食直前」に飲むの?飲み忘れたら?

ボグリボースは、食事で入ってくる糖質の消化に合わせて働く薬です。そのため、基本は1日3回、毎食直前に服用します。具体的には、食事を用意して、食べ始めるすぐ前というイメージです。(※1・3)

「食前なら30分前でも同じでは?」と思うかもしれませんが、ボグリボースでは服用時点を比べた試験で食直前の効果が高く、用法も毎食直前とされています。量と回数は、ご自身の処方に従ってください。(※3)

飲み忘れたときの基本

飲み忘れた分は1回とばし、次の食事の直前に1回分を飲みます。取り戻そうとして、2回分を一度に飲まないでください。(※2)

飲み忘れが続く場合も、ご相談ください。生活リズムに合う飲み方や薬を一緒に考えます。

低血糖のとき、なぜ砂糖ではなくブドウ糖なの?

ボグリボースはインスリン分泌を直接促す薬ではなく、単独での低血糖は起こりにくいものの、ゼロではありません。特にインスリンやSU薬などとの併用では注意が必要です。(※1・3)

冷や汗、手の震え、動悸、強い空腹感などが出たら、低血糖の可能性があります。(※2・4)

「砂糖や飴でもよいのでは?」という疑問はもっともです。ただ、砂糖の主成分であるショ糖は、腸で分解されてから吸収されます。ボグリボースはその分解を遅らせるため、砂糖では素早い回復を期待しにくくなります。ブドウ糖はその分解を必要としないため、服用中の低血糖にはブドウ糖を使います。(※1・3)

低血糖が疑われるときの対応

  • 意識がはっきりして飲み込める場合は、ブドウ糖10gをとります。測定できれば血糖値も確認しますが、対処を遅らせないでください。
  • 15分ほどしても改善しなければ、再度ブドウ糖10gをとります。改善しない、繰り返す場合は医療機関へ連絡してください。
  • 意識がはっきりしない、飲み込めない場合は、無理に口から飲ませず、周囲の方が119番してください。

上記は一般的な対応です。主治医から個別の指示を受けている方は、その指示に従ってください。回復後も、薬や食事量を見直すために主治医へ報告しましょう。(※4)

市販の飴やラムネ菓子は成分がさまざまです。いざというときに迷わないよう、ブドウ糖の含有量が分かる製品を薬局で確認しておくと安心です。

血糖値だけでなく、続けやすさも大切に

ボグリボースは食後の血糖上昇を抑える選択肢の一つですが、お腹の張りやおならが生活の負担になることがあります。(※1)

「血糖値のためだから仕方がない」と抱え込まなくて大丈夫です。診察では、検査結果に加えて「この薬を飲んで、日々どう感じているか」もぜひ教えてください。

当院では、薬の選び方と管理栄養士による食事のサポートを組み合わせ、無理なく続けられる治療を一緒に考えていきます。

参考文献・参考資料

  • ※1:PMDA「ベイスン錠0.2/ベイスン錠0.3」電子添文、2025年11月改訂(第4版)。
  • ※2:PMDA「ベイスン錠0.2、ベイスン錠0.3」患者向医薬品ガイド、2025年9月更新。
  • ※3:T’s製薬「ベイスン錠・OD錠」医薬品インタビューフォーム(PMDA掲載)。
  • ※4:国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター「低血糖」。
  • ※5:糖尿病情報センター「糖尿病の治療ってどんなものがあるの?」。

資料確認日:2026年9月25日。本記事は一般的な情報です。薬の調整は症状・検査結果・併用薬に応じて判断します。

「この薬、自分に合っているのかな?」を一緒に考えます

お腹の張りがつらい、飲み忘れが多い、食事をどう変えればよいか分からない。そんなお悩みを、お薬手帳とともにお持ちください。

あまが台ファミリークリニックは千葉県長生郡長生村にあります。千葉市、茂原市から通院可能です。

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強い腹痛や嘔吐、意識の異常などがある場合は、Web予約を待たずに医療機関へ連絡・救急受診してください。

この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医
  • 日本糖尿病学会正会員、日本睡眠学会所属、日本肥満学会所属

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している

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